2025/8/29
人工知能理論・その5・刺激と概感(2025年8月版)
現時点までの当ホームページの、
人工知能理論における様々な考え方を一通りおさらいして、
今後の課題や新たな問題点の抽出を試みる事にする。
最初に出来るだけ簡潔にまとめ、
以降に内容の詳細を記載する。
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刺激と概感について:
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刺激と概感の発現:
刺激は身体内外の感覚器官の受容体で接した特定の変化を情報として受容し、
これを先天的定義である特定の神経細胞ネットワークを励起する事で発現する。
概感は後天的に刺激を受けた場合の、この刺激と同時期に存在する別の刺激との関連を一度記憶として保持し、
この関連が再び励起される場合に発現する。
刺激と概感の情報構成:
刺激と概感は以下のような情報で構成される。
刺激=変化情報+自己情報(身体性)
概感=変化情報+自己情報(自構性)
刺激の変化情報は、感覚器官の受容体で受容された励起信号を、
先天的定義の特定の神経細胞ネットワークの励起によって、
先天的に割り当てられた変化が生じたことになる。
刺激の自己情報(身体性)は、感覚器官の受容体で受容された励起信号を、
先天的定義の特定の神経細胞ネットワークの励起によって、
先天的に割り当てられた身体部位が生じたことになる。
つまり、刺激は身体のどこかで変化を受容したという情報として構成され、
その刺激の存在は「事象再生の場」で仮想的な自己の身体として構築される。
概感の変化情報は、刺激または別の概感の励起をきっかけとし、
その関連として励起される概感として、
複数の先天的定義を要素を関連させた1つの情報塊として励起されることにより、
過去の経験した刺激の関連をそのまま再現する形で生じる事になる。
概感の自己情報(自構性)は、身体ではなく自己モデルの存在として生じる。
この自己モデルは、概感を構成する先天的定義の自己情報を実体を模した身体ではなく、
情報として自己を定義し構成した対象である。
つまり、概感は刺激か概感をきっかけとして、その関連の存在によって励起された、
きっかけの情報塊とは異なる情報塊を励起したものであり、
これはきっかけの励起以前に経験し記憶された関連であり、
その概感の存在は「事象再生の場」で以前自分の身体性として受容した刺激の再現となる、
仮想的な自己モデルとして構築される。
つまり、
刺激が身体性を元にした単独の情報塊として構築したものであるとすれば、
概感は刺激を複数関連させた体験・経験の記憶を、
以前の自分を今の自己モデル(身体を拠り所としない)として再現し、
情報塊として構築したものである、という事になる。
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定義の階層と二面性理論における刺激と概感:
「まとめ・その1・定義の階層」でも示したように、
自然界と知能の定義の階層の関係は、
自然界(存在)→人間の定義(定義)→人間の実体(存在)→人間の機能(感覚)の定義(定義)→
→知能(存在)→先天的定義(定義)→刺激や概感(存在)→後天的定義(定義)→
→事象再生の場における仮想体(存在)
という事になる。
定義の階層で言えば、知能が保有する先天的定義が関連し刺激や概感が構成され、
この構成は実質的に後天的に励起されたものであり、
その再現として事象再生の場で仮想体が構築されるという事になる。
つまり、刺激や概感は、脳内における神経細胞ネットワークに内包されている、
「関連性」が励起によって、事象再生の場において「存在」となったものという事になる。
二面性理論で言えば、
刺激や概感は「存在」であるため、
定義:(存在):定義
という二面性から、
定義:(刺激):定義
定義:(概感):定義
となり、「まとめ・その2・二面性理論」でも示したように、
刺激=変化情報+自己情報(身体性)
概感=変化情報+自己情報(自構性)
という構成から、
先天的定義・変化情報:(刺激):先天的定義・自己情報
後天的定義・変化情報:(概感):後天的定義・自己情報
として、
先天的定義の変化情報と自己情報の境界に「刺激」が、
後天的定義の変化情報と自己情報の境界に「概感」が、存在として生じる事になる。
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以下は「刺激と概感」の内容の詳細や疑問の解説。
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課題:刺激と概感の先の認識と想起と意識は、先天的定義の確定が鍵であり課題となる。
現在は理論的な考え方のバックボーンや、
強い人工知能のフレームワークに過ぎないが、
この理論を実装する場合に課題になるのは「先天的定義」の確定になる。
先天的定義の定義を作成する方法としては、
人間の感覚器官の受容体から得られる情報を出来る限り抽出し、
「変化情報+自己情報(身体性)」を基礎的な先天的定義とした後、
それを元に、人間の誕生から後の成長段階において経験していくと考えられる、
刺激を解析する形で先天的定義としてモデリングしていく。
五感の感覚器官はある程度明確な定義ができると考えられるが、
身体内のホルモンや神経伝達物質などの変化に対しては、
現時点でも明確な定義が存在しないので、
初期段階では仮定や仮想の定義として用意するか、実装は保留し、
解明された時点での実装となると考えられる。
それでも完全解明を待たずに、ある程度の段階で意識らしい反応は生じると考えられる。
先天的定義が定義できてしまえば、
後天的定義の構成のフレームワークは必要になるが、
その後の後天的定義の獲得は爆発的なものとなると考えられる。
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疑問:俗にいうクオリアはどうなるのか?
「赤い色」を「赤く」感じるような事であるが、
自己言及の問題があるので正直に言って定義や証明はできない。
ただし、構造的な回避と疑似的な再現方法として、
例えば視覚の感覚器官の受容体である錐体細胞で600~700nm前後の波長の光を受容した時、
この励起信号に対して変化情報として「赤い光」を、
自己情報の身体性として「目」を、
知能がこの2つを合わせて事象再生の場において刺激を受容した仮想的な自己として再現した場合、
この仮想的な自己の「目」には「赤い光」が輝点として再現されている事になる。
この場合、知能が自己と赤い光を構築しているので、自己にとっての赤い光は、
知能にとっては客観的な自己として言及可能であるという事になる。
ただし、繰り返しになるが、
機能として、特定の波長600~700nmの光に対して、
例えばRGBで&HFF0000を定義して人工知能の事象再生の場において、
仮想的な自己の目にこの輝点を配置した場合、
この人工知能はおそらく視覚で見ているかは分からないが、
赤い輝点の情報を自己の管理下に置いているとだけは言える。
そして、この人工知能が「赤い光」が見えていると言い張っても、
客観的には「そうかもしれない」としか言えない。
まあ、この問題は人間においても同じ事になる。
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今日はこの辺で。
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