2025/8/18-2025/8/19

人工知能理論・その3・先天的定義(2025年8月版)

現時点までの当ホームページの、
人工知能理論における様々な考え方を一通りおさらいして、
今後の課題や新たな問題点の抽出を試みる事にする。

最初に出来るだけ簡潔にまとめ、
以降に内容の詳細を記載する。

------------------------------------------------------

先天的定義について:

------------------------------------------------------

先天的定義は、
生命が感覚器官の受容体で受容する身体内外の変化の情報に対して、
刺激を構成する変化情報と自己情報を構築する場合に用いられる定義という事になる。

つまり、知能が刺激を構築する場合、

身体内外の変化

感覚器官・受容体

知能←先天的定義

刺激

この様な用いられ方をする。

この時、刺激は、変化情報と自己情報から構成されるが、

変化情報は感覚器官の受容体から得た信号に対して、
特定の先天的定義が励起される事で、
変化情報の意味が確定する事になる。

また、感覚器官の受容体から得た信号は、
同時に身体の部位の特定にも用いられ、
身体に関わる特定の先天的定義が励起される事で、
自己情報の意味が確定する事になる。

そして、この2つの情報が揃うことで「刺激」が構築される。

もう少し分かりやすく言うと、
感覚器官の受容体で得られる「変化」に対して、
その変化が何であるのかと、
変化を受けたのが、体の部位のどこであるのかという定義が、
先天的定義で、
刺激は、この「変化を受けた身体部位」という情報で成り立つ事になる。

また、感覚器官の受容体から受容する変化に対して、
刺激を構築するまでの知能の働きは、
基本的に半自動的に行われて、意識的な操作はできない。

つまり、変化の情報を受容したら、
刺激を構築するまでの間の働きは止めたり変化させたりできない。

ただし、刺激が認識されるかは別の話となる。
この働きは後日「認識」や「事象プール」「事象再生の場」の項の際に説明する。

------------------------------------------------------
そして、先天的定義のもう1つの重要な意味は、
後天的定義の構成で用いられる基底の定義となるという事である。

生命の誕生時に先天的定義は既に完成した状態で脳内に展開されているが、
後天的な体験による経験は、全て後天的定義となる。

この時、後天的定義を構成する基礎となる定義が先天的定義であり、
後天的な体験の経験は、先天的定義の組み合わせを元に構成されることになる。
細かい事は後日「後天的定義」の項でも説明するが、

刺激←先天的定義

体験

経験←後天的定義

となるが、この後天的定義は、基本的に、

後天的定義=先天的定義+先天的定義+先天的定義+・・・

このような定義となる。
後に、後天的定義は、以下のような3つのパターン構成となる。

後天的定義=2つ以上の先天的定義
後天的定義=1つ以上の先天的定義+1つ以上の後天的定義
後天的定義=2つ以上の後天的定義

ただし、いずれも変化情報と自己情報のの1つ以上を含む。
つまり、後天的定義は、細分化すればその基底の定義は先天的定義という事になる。
そして、後天的定義で重要なのは、その定義の関連のパターン自体に意味が生じるという事になる。
------------------------------------------------------
定義の階層および二面性理論における先天的定義:

「その1・定義の階層」に書いた通り、
自然界と知能の関係は以下の様になる。

自然界(存在)→人間の定義(定義)→人間の実体(存在)→人間の機能の定義(定義)→
→知能(存在)→知能の定義(定義)→知能が存在させる自然界の世界(存在)

この時、

人間の機能の定義(定義)→感覚器官・受容体(存在)
人間の機能の定義(定義)→神経細胞(存在)
人間の機能の定義(定義)→知能(存在)

このような構成となり、

感覚器官・受容体(存在)→神経細胞(存在)→知能(存在)

この接続は、「人間の機能の定義」によって決まる人間の機能同士の関係となる。

この接続ができる事で、知能は感覚器官・受容体から情報を受け取ることができるようになる、
そして、知能が感覚から変化の情報を得た後の働きは、
定義から刺激を構築する事として、

知能(存在)→知能の定義(定義)→知能が存在させる自然界の世界(存在)

この関係の中で、刺激にとっては「知能の定義(定義)」が「先天的定義(定義)」という事になり、
「知能が存在させる自然界の世界(存在)」として刺激が構築されるという事になる。

この内容については後日「事象再生の場」として説明する。

------------------------------------------------------
------------------------------------------------------


以下は「先天的定義」の内容の詳細や疑問の解説。


------------------------------------------------------
疑問:先天的定義からなぜ主体的に感じられる刺激が構築できるのか?

刺激の構築は、構築の過程で意識的な関与ができないため、直接把握することは難しいが、
疑問の答えとしては後の項目「認識」や「事象再生の場」の先取りになるが、
上記にもある通り、感覚器官の受容体から受容した変化に対する信号の解釈において、
身体性が補完されることが重要であると考えられる。

つまり、刺激を情報として認識したり、意識できるのは、
その変化を、主観的存在として構築する仮想的な自己のものとするから、
という事になる。

本来、主体的存在は知能であり、知能が刺激を認識したり意識したりする場合、
俗にいうクオリアや意識のハードプロブレムのような、
人間の定義する「論理」では説明できない矛盾(自己言及など)を含む問題があるのだが、
これを正面から構えず、回避する方法として、
刺激としての変化情報に仮想的自己を合わせて、この仮想的自己に主観的視点を持たせ、
本来の主体的存在の知能から、客観的に仮想的自己の主観的視点を扱わせる事で、
主体的な知能に客観的に刺激を認識させようという事になる。

そしてそのための定義が、先天的定義である、という事になる。
------------------------------------------------------

先天的定義の構成の詳細:

参照:「438:先天的定義の構成」
------------------------------------------------------

抽象度が高いが、現時点では以下の様に考えている。

------------------------------------------------------
身体外からの情報の受容の場合:

(選択)身体の器官・臓器

(有無)受容体

(選択)要因の選択

(可否)受け入れ・無反応

(スレッショルド)比較量

(事象)刺激が構成できる変化(自然法則による事象)

(定義)先天的定義


身体内からの情報の受容の場合:

(選択)身体の器官・臓器

(有無)ホルモン・神経伝達物質の受容体等(化学的・物理的な変化の受容体)

(選択)要因の選択

(可否)受け入れ・無反応

(スレッショルド)比較量

(状態)刺激が構成できる身体内の変化(状態変化)

(定義)先天的定義
------------------------------------------------------
このような定義になると考えられる。

基本的な構成は、

刺激=変化情報+自己情報(身体性)

であり、
刺激を認識する為の要素として、
情報の強さやスレッショルドを定義し、
仮想的空間に構築する為の情報として、
仮想空間内で再現される変化と身体性について定義した構成となる。

つまり、最終的に、
仮想空間内に仮想的自己とその自己に接した変化をセットとする事で刺激として構築する為、
先天的定義としては、
主観的視点で把握できる全ての対象に対して先天的定義が定義される必要があることになる。

また、逆に言えば、主観的な対象は変化であっても、自己の身体であっても、
先天的定義による解釈で全て構築されることになるため、
先天的定義で構築されない対象は認識も意識もできない事になる。

例えば「赤い色の光を視覚で捉えたとする」場合、

(選択)身体の器官・臓器=「目」

(有無)受容体=「視覚:桿体細胞・錯体細胞」

(選択)要因の選択=「要因:光エネルギー」

(可否)受け入れ・無反応=「受容体の活動の許容の可否」

(スレッショルド)比較量=「刺激を構築する要因の情報強さの基準」

(事象)刺激が構成できる変化(自然法則による事象)=「視覚の再現における画像の輝点(赤)」

(定義)先天的定義

この場合において、受容体で要因の受け入れが可能であり、
情報強さがスレッショルドを超える場合、
仮想的空間に身体性としての光を受けた受容体の存在する位置に、
目の受容体を再構築し、その視覚で捉えた光について、赤い輝点を配置する。

この仮想的空間と仮想的自己を知能から観測した場合、
自己の身体上の視覚の目で見える画像の輝点として赤い色が配置されている事が分かり、
その連続性において光を認識する、という事になる。

これは1つの目の視覚の受容体における先天的定義であるため、
身体の全身を再現する為には、相応の先天的定義が必要になる。
------------------------------------------------------
今回はこの辺で。

TOPに戻る