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更新番号:
002
更新・日付:
2025/1/19
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人工知能理論のまとめ(認識:cognition)
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認識とは:
簡単に言えば、
「何かをそこにあると感じる事」
という事になる。
もう少し詳しく言うと、
何かは認識対象となる事象であり、
そこにあるとは存在する事であり、
感じる事は知覚する事になる。
つまり認識は、
「事象が存在する事を知覚する事」
という事になる。
さらに詳しく言うと、
事象の存在は、感覚器官で受容できる対象の情報の変化であり、
存在はその受容した情報の再構成体として構成する刺激や概感であり、
知覚は感覚野や前頭葉などにおいて神経細胞ネットワークが励起する事自体で表すことが出来る。
つまり認識は
「事象で生じた変化を、感覚器官を通して変化情報として受容し、
脳内で情報の再構成体として刺激や概感を構成するために、
変化情報に対応する神経細胞ネットワークが励起する事」
という事になる。
さらに詳しく考えると、
事象に生じた変化の情報は、自然法則から成る定義の上に成り立つものであり、
感覚器官で受容できる変化情報は生命体の個体が先天的に持つ定義でその変化の範囲が指定される。
この定義は自然法則を生命体が情報として必要として、
この情報を理解する為の解釈として定義に置き換えたものである。
また、脳内でそれらの情報に対して刺激や概感を構成する事も、
生命体が先天的に持つ定義が存在し、その構成するという事自体の機能も定義として、
生命体の構成時に先天的な神経細胞ネットワークとしてあらかじめ構築されている。
認識に際しては、身体内外の変化を情報として受容し、
定義済みの神経細胞ネットワークを用いて、
情報の入出力を行うという機能に対して、
その情報の入力に対して、神経細胞ネットワークの定義として存在する関連を励起して出力とする。
この出力には変化情報と、対になる自己情報として身体性や自我の情報が充てられ、
自分の存在に対して自分に対して起こった変化の入力であるという意味になる。
この意味が存在することは知能にとっては認識のための観測対象になるという事であり、
知能にとってはこの励起した一連の情報が存在する事になる。
結果として、神経細胞ネットワークの定義の一連の励起によって、
ある事象がそこに存在する事と同義となり、知能は事象の変化を感じ取ることが出来る、
という事になる。
これをまとめると、
「認識は、ある事象の変化を生命体が受容し、
この変化に対応した定義の対象である神経細胞ネットワークが励起されることで、
刺激や概感が構成される。
この過程で変化の入力に対する「変化情報+自己情報」の出力が行われる事が、
知能内において事象が存在する事と同義となり、
その変化を実体験として感じ取ることが出来る事。」
という事になる。
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強い人工知能の為のもう少し詳細な認識の解説:
認識するという事は、知能が事象の変化を知るという事であり、
変化の情報は、知能内においては刺激または概感として再構成されるため、
変化を知る自分として、
関連付けられる自分については2つ存在し、
認識もこれに合わせて2つ存在する事になる。
認識=(刺激としての変化:関連付け:刺激を知る自分)
認識=(概感としての変化:関連付け:概感を知る自分)
※ここでの「関連付け」の意味:
「変化情報+自己情報」の関連の事。
科学的な実験を行っていないので予想になるが、
知能内の特に定義を構成する神経細胞ネットワークにおいて、
これらの定義に関連する神経細胞が連続して、またはほぼ同時に励起にされることによって、
同一の情報として情報が再構成され、「存在」すると感じることが出来るようになるという考え方。
神経細胞のシナプス結合を介した直接的な関連ではなく、
ある神経細胞の励起に対してネットワーク状に全体が関連して励起されることで、
情報の関連が行われるのではないかという事。
この場合、変化と自分が関連付けられる事によって、
自分が変化を受けたという「刺激」や「概感」が「存在する」「実在した」事になる。
この場合、それぞれの情報が単独では存在しえない、認識できないという事になる。
また、励起は一度きりで完了するものではなく、認識が継続している間は、
継続的に励起が引き起こされている。
「(自我)意識」が認識の連続性によって「連続した存在」として自分が存在するような感じがするという考え方は、
この予想を元にしている。
(参考:403:認識と身体性)
(参考:407:認識と意識)
一般的に認識されている概念としての「認識」は1つだが、
この認識が存在しているという事は、認識が二面性を持つという事になる。
変化面→認識←自己面
※認識の存在の確定(知能による観測):
事象の存在を確定するためには事象が二面性を持つ必要条件がある。
知能が事象が存在すると確定する(観測する)ためには、
認識の存在の確定についてもこの条件は必要で、
この場合、認識を確定する為の二面性が変化と自己の再構成になる。
ちなみに意識の二面性は、この刺激の認識と概感の認識の二面性である。
定義と入出力の考え方から認識について考えた場合、
定義と入出力においては、
環境もしくは身体上に生じた変化に対して、
それを知能が情報として得る事が認識となる。
この場合、
刺激は、
変化の情報が入力、
先天的定義が定義であり、
自己情報として身体性が再構成され、
これらが関連して、
刺激が出力となる。
概感は、
変化の情報が入力、
後天的定義が定義であり、
自己情報としては経験として記憶された自己の想起で再構成され、
これらが関連して、
概感が出力となる。
また、二面性の考え方から、
認識については、
認識(の定義)を挟んで、
変化(の定義)と自己(の定義)が存在する事になる。
認識=(変化:先天的定義による刺激の認識:自己の身体性)
または
認識=(変化:後天的定義による概感の認識:自己の想起)
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強い人工知能の為の「認識」の実装:
認識は、変化を「知る」事の為に、
知能が持つ機能であるが、
「認識」それ自体は知能の働きの上で結果的に生じる状態のようなものである。
強い人工知能において必要となる認識は、
機能としての情報を知るための「認識する機能」を実装する事ではなく、
情報から刺激または概感を情報として「再構成する機能」であれば良い。
つまり、仮想的な再構成の場において、
変化と自分についての情報を、存在する事象として構成できれば良い事になる。
人工知能を持つ個体にとって、
個体が受けた変化と、関連する個体自体の情報を、
その「変化を受けた個体」として、
知能が、どこか別の場に再現すれば良く、
これが結果的に、
知能による観測に繋がり、知能による事象の存在の確定であり、
これが「認識」となる。
つまり、認識は、
知能によって能動的に「事象を知る」というよりも、
知能によって「事象を再構成する」事で認識されている事になる。
人工知能における認識を具体的に考えると、
刺激の認識の再現は、
センサー類を感覚器官の受容部として、
そのセンサーの設置位置が自己の身体の再現箇所となる。
つまり、センサーの設置位置の全てが自己の身体として構成できる全てとなる。
このセンサーから受容した情報を、
別の仮想的な空間において、自己の身体構成と合わせて情報として再構成する。
つまり、その変化自体の存在と、自己の身体の存在をこの空間内で構成する事で、
知能にとっての刺激とその刺激を受けた自身の身体が存在する事になる。
概感の認識の再現は、
まだ明確な再現方法を考えていないが、
刺激の認識をきっかけとして想起が必要になった場合に、
記憶された変化情報+自己情報を再構成する事になると考えている。
認識は刺激の場合と同様である。
この時の自己情報は、何を持って「自己」とするかであるが、
自己は個体においては主観的な存在として存在するが、
情報としては知能が構成した、作り出した対象に過ぎない。
つまり、知能が「目的」に応じて自由に操作のできる個体が「自己」になるわけであり、
明示的な「自己」の定義が必要になるわけではない。
つまり、人間と人間の知能においては、
後天的に「自我」や「自己」としての定義は持つが、
先天的に「自分」や「自己」として持っている存在は、脳を含む身体でしかない。
しかし、生命としての存在の経過により、
自己の身体が要求する欲求や、その社会環境における自身の目的などにより、
「自分」となる「自我」や「自己」の定義が出来上がっていく事になる。
そして、「自己」の存在には「目的」が必要であり、
強い人工知能においては、
情報は自分が必要として、目的とするために事象を認識する仕組みでなくてはならない。
つまり、自分が必要であるから情報を得る仕組みでなくてはならない。
逆に言えば、自分が必要であるから、自分にとっての変化が認識となるとも言える。
「目的」や「自己」や「自我」については、それぞれの各項目のまとめで解説する。
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これまでの「認識」に対する考え方の変遷:
参考:225:認識の解明の進展
認識における刺激の励起状態の維持の必要性について解説している。
参考:330:人工知能の意識の再現
意識の前提となる認識について解説している。
参考:359:刺激と認識と意識の構成イメージ
359に認識や意識のイメージを掲載している。
参考:382:認識の際に自分の再構成が起こる理由
「つまり意識の二面性と同様に、認識にも二面性があり、
先天的定義の刺激:(認識):後天的定義の刺激
主観の自分:(認識):客観の自分
の結果として、
先天的定義側の自分:(意識):後天的定義側の自分
という意識に繋がっているのではないかと考えられる。」
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更新:日付 番号
2024/6/21 001 新規作成
2025/1/18 002 入出力と定義、二面性の観点について追加と全体見直し
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