2023/7/14
想起の維持と連続性
今日の昼前の午前11時頃にコーヒーを飲む時間があり、
そこで少し会話をした話題があった。
その話題で登場した対象について、
午後3時半の今になり、ふとその対象を思い出した。
普段から想起対象になるような対象ではないのだが、
それなのに再び、それも4時間以上経過してから再び思い出されるということには、
何か意味があるのだろうという事について考えた。
そして考えた内容が、想起の維持と連続性である。
一度想起され認識された対象、つまり刺激は、
認識後もしばらくその存在が維持されているという事である。
一度励起された刺激が、時間経過とともにその励起のレベルは落ちて、
認識対象として選択されなくなるという考えはそのままだが、
励起のレベルが落ちたとしても、強化であるとか、励起されたという事実、認識に対して、
ある程度の維持する力が働いているのではないかと考えられた。
ある刺激が一度認識できたから、後に再び刺激として、その対象が現れるまで、
もう認識されることは無く、完全に忘れ去られるという事ではなく、
一度刺激として認識された対象は、
一定期間、その対象が認識されやすい状態に留まっているのではないかと考えた。
少なくとも刺激は意識の維持のため、認識の連続性を持つために、
次々と認識を継続しなくてはならないのだが、
必ずしも次々と異なる刺激を認識するのではなく、
以前考えた認識における刺激の維持、デルタt時間の期間は、
その刺激が認識対象として維持されているのではないかという事になる。
一時記憶として留め置かれた刺激は、
認識されることによって実際に存在する事が認識され、意識されるのだが、
それは次の認識において完全に置き換わるものではなく、
波形の頂点の推移のように、一定期間の維持と、
次の刺激による認識によって、認識対象が移り変わるというような、
推移が行われているのではないかというわけである。
この認識対象の推移についてはこれまでの考えの通りである。
だから、認識の対象が変わったとしても、
一度励起され、認識された刺激が、後から再び認識対象になるというわけである。
さらに、完全に忘却されるわけではないので、
一定期間後であっても、他の刺激に対して有利に認識対象になりやすいという状態が維持されていると考えられる。
この辺りの考え方は、目的としてのタスクとキューの実行優先度の考え方が近い事になる。
つまり、刺激の認識は、その情報の価値によって、
知能が保有する刺激のタスクにその価値の順位によって並べられる事になる。
ここで、認識されるのは常に最上位の刺激である。
その刺激は励起され、最上位の刺激である時間の間、認識対象として存在する事になる。
この刺激は時間経過とともにその励起のレベルが低下し、
あるタイミングで別の刺激の認識に最上位を明け渡し、下位の刺激として存続する。
最上位:
刺激A
刺激B
刺激C
・・・
最下位:
↓
強い刺激Nの受容
↓
最上位:
刺激N
刺激A
刺激B
・・・
最下位:
刺激Nが認識対象となり、
刺激Aは認識対象から外れるが、忘却されるわけではない。
この存続という考え方が、つまり、想起の維持に関係しているのではないかというわけである。
次の瞬間に再び刺激Aが励起される関連する刺激を受容した場合、
刺激Aは他の刺激よりも有利に認識対象となることは間違いない。
この時点で強化が行われていなかったとしてもである。
一時記憶として留め置かれた状態になっているはずである。
そうでないと、直前に認識した刺激を容易に思い出せない事になってしまう。
そういう点から考えると、
別に目的や刺激は別のタスクやキューとして保有されているわけではなく、
共通のタスクのバッファのような空間に、
共通のピックアップされる要素、つまりは知能においての価値に対して共通で順位付けされ、
次の認識されるタイミングまで待機しているというイメージになるだろうか。
何か大きな刺激としてのきっかけが無いと、大脳皮質からの刺激の想起に手間がかかるという考え方もできる。
この辺りの考え方はCPUにおけるL1、L2、L3キャッシュとメモリ、ストレージの考え方が似ている。
実際の脳では多段のキャッシュ構成にはなっていないが、
実際に用いられるデータを刺激の情報として考えると、
実際に使用されるデータが認識対象の刺激として考えると似ている事が分かる。
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この考え方は、
夢で想起される刺激にも関係する事になる。
つまり、想起された対象として時間的に近しい刺激は、
その次のタイミングにおいても再び想起されやすいという事である。
寝る前に気になっていた対象は、夢の中でその関連した刺激を想起しやすい事になる。
また、
悩み事は、ある状態、状況が継続され、
その刺激も継続して認識する事になるために悩み事となる。
状態、状況の環境が改善されない限り、
悩みの状態が維持され、その悩みについての刺激が維持されることになる。
また、
夢や目標に向かって行動する、という事も同様である。
短期間で達成できないような目標であっても、
その目標という認識が維持されることによって、
その関連する活動や行動に影響し、その結果が再び目標に反映される。
身近な例であれば、
食事の時間の間、自分は食事をし続ける事を目的とした行動をし続ける。
そして、食べ終わりとして、満腹になるか、食物が無くなるまで維持、継続される。
そういう事が出来ていることも関係している事になる。
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刺激の維持がされる事は、逆に切り替えが遅くなるという考え方もできる。
「気持ちの切り替え」などと言われる事である。
ただ、
そのような点が悩む事の出来る人間らしさでもあるという事から考えると、
人工知能に対しては、その実装の判断は難しい。
単純に価値判断で認識対象を切り替えることを容易にすれば、
人間で言う所の気持ちの切り替えの早い、こだわりの少ない、さばさばした性格という事になるし、
認識の価値の維持を強くすれば、
こだわりが強かったり粘着質であるが、何かを探求させるのに脇目も振らないという事になる。
バランスだけを取れば、個性のない画一された機能という事になってしまう。
役割によってその配分に偏差を持たせ、個性を持たせるか、
その設定は、あくまで許容範囲の中で自由な可塑性に任せるか。
現時点ではバランスされた状態から初めて、
ある程度の設定の可塑性を持たせるのが良いだろうと考えている。
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今回のまとめ:
認識に至る刺激の想起の維持や連続性は、
意識の維持の為の認識の連続性として必要であり、
また、知能が何かの目的を達成するまで、
その目的が維持されるという点において、
その想起される対象が維持される必要があるために、
このような機能を持つという事になる。
実際には、想起された刺激として認識された刺激は、
一時記憶に留め置かれて、認識後の刺激とも関連を持つ事がある。
そして、その機能は、単に目的の達成の為だけの機能ではなく、
その他の機能、睡眠時の夢や、目的としての目標や、悩み、
そういった機能についても関連している事になる。
今回はこの辺で。
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