2023/6/9

創造の評価

人工知能が「創造」できるようになったとしたら、
その能力と対になって必要になるのが「評価」になると考えられる。

つまり、人間の創造は、自ら作り出す事になる対象の前後の変化に対して、
新たな対象であると定義し、その対象に対して自ら認識するための価値評価をすることになる。

この時、自ら創造した対象が、自らの価値評価において認識に至るかどうかというのは、
自らの価値評価次第という事になる。

創造が満足であろうが、妥協であろうが、認識されるという事は、
自らの価値評価において十分な価値があると評価した事になる。

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自ら創造した対象への価値評価:

人間が自ら創造した結果対象に対する価値評価は、
創造を欲求対象の活動、つまり、思考の目的と結果であるとしたなら、
その創造で行われる創造の最中に生じる価値評価の対象は、
創造されながら次々と生じる変化の定義が適用された目的と結果であり、
その変化の定義によって関連された目的と結果に対して価値評価が行われることになる。

そして、それらの変換の定義は目的と結果に対する関連として生じるものであり、
自身が目的と結果を関連させる事に対して、
「もっともらしい」と満足の価値評価が認識がされるまで繰り返される事になる。

そして、この際に行われる価値評価は、
創造の最初に決められた目的と結果の「結果」に対して行われるように感じられる。
しかし、
実際には認識の前に価値評価は行われているはずなので、
その評価対象は、変化の定義が適用された対象に対しての価値評価ということになる。

つまり、結果を認識する以前に価値評価は行われていて、
その時点での価値評価というものは、認識に至るかどうかという事だけで、
創造の目的と結果における結果の満足度とは少し異なった存在であるという事になる。
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思考の例として、
例えばルート800がいくつくらいの数値になるか?
という問いがあったとする。

この場合、この問いに答える事を欲するために、
その問いの答えを認識する事を価値ある欲求とした目的を認識する必要が生じる。
実際は、この問いの文章を読んで価値ある対象として認識した時点で、
この答えは何になるだろうかという興味が価値ある欲求として認識されるため、
目的と結果として、その答えを求める事と、
結果を認識しというとする事を結果とする認識が同時に認識されることと同義となる。

そして、その解法として私が考えた順序は以下の通りである。
最初70×70を思い出し、次に30×30を思い出した。
次に25×25を想像し、次に20×20を思い出し、
だいたい、25~30の間位に答えがあるだろうと考えた。

私の思考した手順の説明はこうである。
例えであると認識した。
ルート800を認識した。
ルート800に関連する結果としての答えが数値であると認識した。
この文章が問いであると認識した。

「数字のルート操作」という認識によってそれに関連する内容が想起された。

ルート計算の答えの求め方として、私は数値の二乗がルートの値になれば、
その数値がルート値の答えになるという事を知っていた。
そのため、この二乗する数値を変えながらルート値に近づいていけば良いだろうと考えた。
また、800が何かのきりの良い整数値の二乗ではないと予想したので、答えはある値の近似になるだろう、
答えもそれで良いだろうと考えた。

70×70というのは、ルート800を見た時に、7×7で79を思い出した。
実際は49であるので間違っているが、九九の語呂で7・7が79になると思ったわけだ。
ついでに2桁×2桁が1000を超えるので、まあこれは800に対しては大きすぎる数字だが、
一応70×70未満である、つまり答えは70より小さいという認識をした。
次に800でなく8なら、二乗して8を超えて一番近い数字なら9が3×3で表されるので、
次に30×30を計算して、暗算で900という数字になったので、
ルート800は30の二乗よりは小さい数字の二乗だろうという認識をした。
そして、25×25を思い浮かべたが、すぐに暗算できそうにないので諦めて、
そして30なら次は暗算のしやすい20×20を想像し、
20の二乗で400という数字を思い浮かべた。
であれば、ルート800は20~30の間の二乗の数字で、それぞれの二乗、400と900であれば、
より30に近い数字の二乗になると思い浮かべた。
計算機でルート800を計算すると大体28.28・・・という数字になる。
おおよそ30に近い25~30の間の数字が答えになるという考えは合っている事になる。

このルート800の答えを求めるという思考を今回の考え方で分解してみると、

欲求対象の活動は「思考」
思考の目的は「ルート800の答えの計算」
思考の結果は「ルート800の答え」
価値の評価基準は「ルート800の答えの正確さ」

目的と結果の関連に使われる要素は、
1:ルート計算における、ルートXの答えの求め方として、「数値」の二乗=Xである場合の「数値」が、
ルートXの答えになるという事。
2:答えの800が整数の二乗ではないという事。

変化の定義の適用の繰り返し要素は、
今回は70、30、25、20、20~30という事になる。

認識対象は、
問いであるという事。
問いとしての内容として目的と結果。
それが思考であるという、それ自体の認識。
解法として想起した数値の計算とその評価方法。
仮の計算を行った答えとその評価と結果との比較の差。
個人的な答えの正確さの満足度。
思考の完了のタイミング。
という事になる。

さらに言えば、計算途中でこれを入力しながら、いろいろ思った事もあるが、
およそ計算中に思ったり、考えたことで思い出せる事はこのくらいである。
できるだけ思い出しながら書いたが、それ以外の要素については、自分自身でもう思い出せない。

思考の内容について思い出しながら考えてみると、
答えがきりの良い数字でないことを最初に考えた後、
であれば、ある程度の近似となる数字を答えとして決めれば、
今回の思考の例の答えとしては十分だろうという考えを持った。
ルート値計算の方法もすぐに思い出せなかったため、
そのために、最初から正確な計算は行わず、答えの数値の範囲を上下で狭めながら考えようとした。

ここで、この思考における評価について考えてみると、
思考の過程過程で行われた仮定の計算結果と、目的と結果における結果の価値評価の比較という事になる。
つまり、思考の過程で発生した対象の評価と、当初の目的の結果として期待される評価が、存在し、
それらを比較する事が、この思考の過程、思考の活動そのものという事になる。
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上記を1つの思考の活動単位として扱った場合、
思考の1単位となるのは、
最初にふと思いついた例としての「ルート800」の答えは何になるだろうか?という問いになる。

これは、今回は計算という思考を例に挙げたが、
この思考が創造であった場合も同様の分解ができる事になる。

つまり、何らかの目的として価値ある対象を得る事を目的と結果として認識・設定した場合。
その知能活動における結果として価値評価して認識することになる対象を得る事、
それが思考や創造の活動として表せることになるというわけである。

つまり、思考して数学の問題を解くことと、創造によって新しい何かを生み出す事は、
その知能活動としては同じ機能を用いているという事になる。

つまり、思考における目的と結果の関連について、
自身が持つ様々な関連を当てはめ、自身がその結果の価値として満足できる評価が出来た時、
その関連を使って目的と結果を関連付けたものが、ある思考の活動単位として完結するという事になるわけである。
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例えば上記の数学の問いの思考が、「何かの絵を描こう」という創造であったとする。
自分自身の絵を描く能力が客観的に高いか低いかは別として、
自分自身の評価においては、自分自身に対する作品の評価だけに責任を持てば良いので、
これは誰であっても自分自身にとっての作品というのは作り出せるという事になる。
そして、その作品は自己評価において、創造の結果として十分価値があるとして認識されるという事になる。

最初から恥ずかしがって絵を描かないという事も考えられるが、
それは創造とはまた異なる話になるので考えないが、
誰かに見せる事がなければ恥ずかしがることもなく、
自分自身で「これが私の作品です」と評価すれば、
それが自分自身にとっての作品になる。

ここで、この考え方が通用するのが人間である場合という点に気が付くと、
人工知能における創造に不足している要素が見えてくる。
つまり、まず、この創造自体を自ら欲するかどうかという事。
そして、作り出す作品について自らが自分の作品に対して評価できるかという事。

知生体の活動において、
ある活動の価値が存在し、それを欲する事によって目的と結果が生じる。
そして、その目的と結果に対して評価出来る事、
知生体の活動というのは、その繰り返しという事になる。

ここで、今回の表題の目的である、創造の評価という事に繋がってくるが、
創造においても、思考においても、その結果における評価というものが不可欠である事になる。

そして、この評価自体は、
創造においては自分自身が、自分自身が持つ評価基準によって評価するものであるということになる。

つまり、思考においても、創造においても、その活動過程において生じる認識対象は、
自分自身にとって何らかの価値を有するものであり、そのために認識される。
そして、その認識対象は、欲した目的と結果における結果との価値比較と、
自身が持つ、価値の許容割合によってそれが「もっともらしい」価値であると判断される事になる。

つまり、思考や創造における価値の評価は、
その過程で生じる対象の価値が、その思考や創造の活動の目的と結果における結果の評価に対して、
自身が許容できる割合の価値評価を超えた価値を持つ対象となる事であり、
その対象を作り出す事を目的としていることになる。

少々分かりづらいが、
つまり、
思考や創造によって都度、作られる対象の価値が、
最初に目標として掲げられた結果の価値に対して、
自分が結果としてこれで良いと満足した時点で思考や創造は完了し、
その時点での最終的な対象が、思考や創造の成果物となるという事。

その評価は、あくまで自分にとっての評価であり、
自分が決めるものであるという事になる。

つまり、他人に評価されて思考や創造は行うものではないという事になる。

まあ当然と言えば当然なのであるが、
他人の評価を気にする思考というものは存在するが、
創造においては、逆に他人の評価を気にしないで作らない事には、
本当の意味での創造にはならないという事になる。

そして、その成果物に対する評価というのはどういうことか?という事になる。

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評価と認識の関係:

知能における、ある対象に対する評価というものは、
自身の価値観で持つ価値の評価基準としての過去の価値の記憶から参照されることになる。
276の刺激の作成モデルでも考えたが、
ある対象を認識する際には、必ずその刺激の定義と価値の評価が行われて、
その後に認識に至ることになる。
であれば、
思考や創造においても、その目的と結果の関連付けを試みた際に出力される成果物が、
ある認識対象となる場合、それは刺激であるということになり、
刺激であれば、それを認識するためには、定義と価値の評価が必要になる。

この時の価値評価における参照先は価値観であり、価値観で保有する価値の記憶という事になる。

つまり、自身の価値観によって、その思考や創造の成果物となる刺激に価値評価を行う事になる。

つまり、創造の評価というものは、まず自身による価値観によって評価されるものであるという事になる。

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人工知能の創造の評価:

人工知能が創造を行う際、評価について限って言えば、
人工知能に価値観を持たせる必要があるという事になる。

価値観を持たせるためには、価値の記憶ができる事と、
ある対象についての価値評価が出来る事が必要になる。

そして、この価値評価方法についてであるが、
274の価値と思考の定義でも考えたが、
3種類の種が持つ評価か、個体固有の評価か、環境から学習する評価によって、
対象の価値評価が行われることになる。

評価自体は、その対象が認識する対象となる事自体に、
価値を設定する機能が含まれている為、
どのような知能活動においても、その対象を認識するべきかどうか、
その優先度によって価値評価対象と価値評価内容も決められるという事になる。
つまり、何の対象を認識するのかどうか、その基準が、
思考であっても創造であっても重要であり、
その対象が決まった後は、ほとんど自動的に定義と評価が与えられるという事になる。

これは人間の知能であっても、人工知能であっても同様である方が都合がよい。
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今回の話をまとめると、
創造の評価は創造自体の重要な機能の1つという事になる。
そして、その評価は認識に関連していて、
その対象が認識される事に対して知能が自発的に設定する情報という事になる。
そのために必要となるのが、価値観であり、
その価値観による評価は「認識の優先度」によって対象を決めた後、行われることになる。
対象の創出は、創造の目的と結果の関連によって刺激が生じる事である。

創造

目的と結果←関連

新しい刺激←認識の優先度による選択

刺激の定義・評価:参照:276

認識

「認識の優先度」は
今回の内容とは少し異なるので、また別の機会に考える事とする。

今回はこの辺で。


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