2023/5/15

単体刺激と刺激集合を使った刺激の定義の解読

(刺激の定義の解明)

272で考えた単体刺激と刺激集合について、もう少し考えてみる。

まずは272の最後で考えた、単体刺激のまま刺激集合となり得るかについて。

認識の対象は刺激集合である必要があると考えているので、
これが単体刺激のまま認識に至るかどうかを考えれば良いという事になる。

例えば、
何らかの単体刺激を欲する状況が存在しうるか。
単体刺激で別の関連ある単体刺激が想起されたり認識されたりするかどうか。
この辺りの事を考えれば良さそうである。

視覚において、眼の網膜の存在を考慮せず、
光源を1点の素子とした場合に、その光を単体刺激として受容したとする。
この場合、光源の情報や周囲の情報、その他を一切排除した場合に、
純粋に光の点1つを単体刺激として扱おうとするが、
認識されようとする刺激の姿は、1点の点としての形ある明かりの状態であり、
これは単に光であるという情報量を越えて、点であることや明るさ等の情報を含み、
既に刺激集合となっている。
そもそも「光」という受け取り方自体が単体刺激では存在しえない状態となっている。

体の特定部位に存在しない漠然とした「痛み」についても考えてみた。
体の痛点においては、その体の部位の情報が既にセットになっているので使用できないので、
想起による「痛み」について考えてみた。

痛みの認識自体が、体のいずこかの情報を必要とした。
痛みを成り立たせるには体のどこかの部位の情報が必要であった。

体表面にしろ、内臓にしろ、痛みを痛みの刺激として受容するには、
痛みの情報が、体のいづこかに存在しているという情報なしには成り立たないという性質の刺激であるという認識を持った。
つまり、
「痛い」はどこかが痛いから「痛み」であって、
「痛い」という単体刺激だけでは成り立たない、つまり認識しようがないという事になる。

つまり、認識される刺激集合にはその情報の要素・プロパティとして、
その刺激を成り立たせる刺激毎の必要な要素があるという事になる。

例えば、「痛い」という刺激を成り立たせるなら、
「体のどこが」「どれだけの強さで」痛いのかという情報が必要であり、
最初の例の「光」という刺激においても、
「光の形」と「どれだけの明るさか」という情報は「光」を成り立たせるのに必要という事になる。

現時点で私が知る、想像しうる様々な刺激について、
その刺激を成り立たせるのに、
単一の刺激の情報で成り立たせられることができるという刺激は思い当たらない。

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1点気づいたのは、
刺激を成り立たせるために必要な情報が、
その「刺激」毎に存在するという事。

これは、268で考えていた「刺激の定義」に関係するのではないかという事である。

つまり、特定の刺激として刺激集合を成り立たせるためには、
その刺激の種類毎に必要な、同時セットの単体刺激が決められているという事。
その情報がそろって、初めて認識に耐えうる刺激集合になるという事。

認識に至るには、さらにその刺激集合が刺激の価値において、
同時に存在する他の刺激集合と比較して最も高い価値を持つ必要があるが、
「刺激」という存在を成り立たせるためには、それらの特定の要素群が不可欠であるという事になる。

そして、この単体刺激群が刺激集合になるわけだが、
この刺激集合というのは、その刺激の定義が、これまで不明瞭であると考えていたものたが、
1つ明らかになったのは、この「ある刺激」に対して必要となる「要素」に特定の決まりが存在するという事が
示唆されているのではないかという事である。

つまり、「ある刺激」には決まった要素、ここでは他の単体刺激という事になるが、
つまり、「ある刺激」を成り立たせるのに必要な情報として特定の要素が決まっているということが言えるのではないかという事。
そして、それは刺激の定義における1つの決まり事なのではないかという事である。

つまり、本能として知っている刺激において、
その刺激を刺激として認識するには、「刺激の定義」が必要であるとしたが、
ある特定の刺激に対して、その刺激が成り立つために必要な単体刺激群の種類は、
刺激毎に特定であり、決められていて、その刺激の受容において決められた接続が行われているという事、
つまり、刺激の受容器官と神経細胞の間の定義となっているのではないかというわけである。
つまり、「ある刺激」を成り立たせる為に置かれた脳内の感覚野において、
その、「ある刺激」は特定の刺激の受容器官と専属の接続となっているというわけである。

恐らくこれは、単体刺激では成り立たせることはできないし、
他に分かることは、ある刺激を成り立たせる刺激の受容器官は、
その刺激に対して集約されている。つまり、近くに配置されているという事になる。

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刺激の感覚器官がまとまって近くにあるという考え方は、
割と当たり前の事と言えるかもしれないが、
これが言えるという事は、
後天的に得る事になる刺激の定義についても同じことが言えるようになるのではないか、という事になる。

つまり、後天的に学習する刺激の定義にも、
その要素、単体刺激群に特定の決まりが存在するのではないかという事である。

つまり、後天的に得る事になる刺激の定義として、
ある刺激集合には特定の単体刺激が関係している事と、
ある刺激集合には、特定の単体刺激の関連がシナプス結合として近くに存在するという事が言えるのではないか。
物理的に近くないとしても、あらかじめ関連として存在し、要素として近い対象になっているのではないだろうか。

個体差や可塑性は考慮する必要があるが、
「刺激の定義」について、考える方向性として基本的な決まりの1つになるのではないかと考えられる。

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刺激の受容器官と神経細胞の神経接続はDNA情報で生命誕生以降に成長として構築される。

刺激が刺激であるという定義はまだ不明だが、
269で考えた、刺激の定義が想起時に持ち出される情報であるという考えによれば、
感覚器官が受けた刺激に対して反応する神経細胞の励起に対して刺激の定義が付与されることになる。

本能の刺激に対しては感覚器官の受容に対して、特定の単体刺激群の神経細胞が励起されることになり、
この神経細胞ネットワークの関連の励起に対して刺激の定義が生じる事になる。
そして、この刺激が高い価値を持つと評価された場合に刺激の認識に至る。
そして、この刺激の存在を意識して、この刺激を受けたと分かる。

触れている接触が点でなく面になった場合はどうか。
点の刺激を、その刺激を同時に受容した場合に面の刺激に構築した場合にどうなるか。
刺激は特定の刺激から構築されているのではないか。
つまり、認識に至る刺激は、決められた刺激の要素から構築されているのではないか。
その構築の定義が、刺激の定義になるのではないか。
決められた刺激の要素と、その一定の情報量によって、刺激として成り立つのではないか。

存在の定義は刺激の存在時間の間構築されている、存在している。

これをこれだけ受容したら温かい、
これをこれだけ受容したら冷たい。そういう定義がどこかにある。

なぜ温かい。と感じる。のか。
それは感覚器官にはない、神経細胞の励起でもない。
温かいを感じる定義が記憶された何かが存在する。

なぜ温かい?

原始生物は刺激の受容器官が存在しなかったから刺激に対して何も感じていなかったはず。
刺激を受け始めてから生物はその刺激に対して何かの情報を感じるようになった。

刺激としての変化、変化の情報に対する感じ方。
触れてみた時、自分の一部が反発される、物体がそこにある。触覚。
細胞膜が何かに触れる。接触。

細胞分裂において他の細胞との接触によって細胞分裂を停止するという機能。

接触によって何かの情報を得た、変化を得たという事になる。

変化の情報。
接触圧の変化。温度変化。

時間差における変化を情報として得ている。

時間差における変化を刺激の定義としている?

温かいのでなくて、温かくなりつつある変化を「温かい」という定義として持っている?

抽象的な感覚として、
何らかの物質が放出されている。

その化学物質の受容に対して感覚の認識として適応、応対、応じている。

温かいのではなくて「温かさ」を情報の変化として刺激の定義から設定している。

「堅い」「柔らかい」のではなくて「堅さ」「柔らかさ」を時間経過の中で
時間経過の間に情報の変化として、状態の差を情報として受けている。

時間経過に刺激の存在を見ていたのはこういうことか。

これが温かいのは、触れた先が温かく変化している様子を捉えて「温かさ」と感じている。

この場合、刺激の定義は「温かさ」である。
つまり、「温かい」は「温かさ」の変化の情報として、
温度が時間経過によって温度上昇の変化として情報を捉えられた事をいう。

それは情報の定義ではなく、情報の変化。
情報の変化を捉えた時、その変化していく様子を感覚で受け取る事。

変化していく差を情報の定義であると考えていた。

違う、「情報の定義」と考えていたものは「変化していく差」の事だったという事。

情報の定義が存在していたのではなくて、
「変化していく差」それこそが刺激の定義だったという事。

情報の定義が存在していて、それを参照して刺激を定義していたわけではなく、
「変化していく差」それ自体が刺激だったという事。

温かい刺激ではなく、温かくなっている変化を時間経過によって受け取る事、
それが「温かい」という刺激。

人間は体温を持っているから、その自分の体温に対して、
その「温かい」という刺激は、自分の温感に対して自分の体温より高い対象から、
熱を受け取ることになる。この時間経過による温度変化に対して、
「温かい」という刺激を受ける事になる。

とはいえ、それが温かいという事の定義は存在するはずである。

感覚器官で受容した情報の差を刺激として取り出す事が出来る。
この情報の差の変化を刺激として定義している。
つまり、その変化分の差(差分)を刺激として感じているということ。

36℃を33℃の手で触れて36℃が温かい刺激と感じるのではなく、
36℃を33℃の手で触れて、手が3℃の温度差によって温度変化する時間、
温かいという刺激が存在して温かいと感じるという事。

温度変化を温かいか熱いか判断するのは、やはり既存の定義として何か存在するはず。
おそらく急激な温度変化、つまり、大きな温度変化について熱いと感じるのであろうが、
温かいにしても熱いにしても、その表現の感覚の定義は存在するはず。

さすがにこれは現時点では不明である。

単なる表現という事になってしまうが、
そうか、「単なる表現」か。
刺激が情報の変化、その差分を刺激として定義しているだけで、
知能はそれを「刺激」であると単に表現しているだけか。

別に「温かい」が遺伝されているわけではなく、
遺伝されているのは感覚器官として情報の差を刺激として受け取る能力だけであって、
それを表現する「温かい」はあくまで後天的にその刺激についての表現を学習して表しているだけか。

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これまで不明であったと考えていた「刺激の定義」は、
感覚器官が時間経過の間に受容する情報の変化、差分の事であり、
これは遺伝的には感覚器官が情報の差、情報の変化を刺激として受け取る能力であり、
その感じ方は、単に表現として認識しやすいように明示的に名称づけられて表現されているだけという事になる。

つまり、
時間経過の間に感覚器官が受容する情報の差が「刺激」であり、
知的生命はそれを認識する能力を持っている。
「刺激の定義」が先天的にも後天的にも存在しうるのは、
単に表現として刺激を表す事が出来るという事において、その表現を学習する事が出来るからという事になる。

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2023/5/16:追加

つまり、 変化した情報を知的生命体が得る方法が刺激である。
刺激は、ある状態変化について時間経過によって生じた差分がその対象となる。
刺激が、特定の刺激であると定義される事、例えば「痛い」とか「温かい」という定義は、
後天的な表現というだけであるが、
その刺激によって感じられる感覚というものは、知能における本能的な評価という事になる。

つまり、「痛み」が「痛い」のは、感覚器官が得た発痛物質等による変化を刺激として受容し、
神経を通って神経細胞にその信号が移るが、その時点では、その信号が到達したに過ぎない。
そして、その先の神経細胞ネットワークの励起に移り、
この関連する励起に生命体が感じることのできる「感覚」が意味付けられる。
この意味付けがこれまで考えてきた「刺激の定義」である。
そして、それは、生命が必要としてきた変化の情報であるということになる。
体に伝わる危険な変化情報として「痛み」を作り出した生命が存在するという事になる。
恐らくこれ以上の分化は難しい。
他の感覚にしても、いずれかの生命が、その進化の過程で獲得してきた情報の変化の受容能力として考えるほかないだろう。

「刺激の定義」は「単なる表現」であると考えたが、
この「単なる表現」は、生命が獲得してきた刺激の感覚の表現であるという事になる。

上記の例の「温かい」が後天的に学んだ単なる表現であるというのは違いないが、
「温かい」を、そのぬくもりとして感じる体性感覚は既に定義として持っている事になる。

つまり、
「痛み」が「痛い」のは、生命がDNAで培ってきた情報の変化に対する表現であり、定義であるという事になる。
現時点ではこれ以上の刺激の定義の細分化が思いつかない。

感覚器官や神経伝達物質や伝達経路を操作しないという条件において、
もし、この定義を変更できる可能性があるとすれば、DNA改変しか考えられない。
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今回はこの辺で。


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