2023/5/4

刺激の定義と想起・認識との関係

269の最後の方で、
刺激の定義が想起の際に利用されているという事を思いついたが、この事について考えてみる。

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目をつぶって赤を想像してみる。

目をつぶった暗い画面に直接、赤色が見えるわけではなく、
赤いぼんやりしたイメージが思い浮かび、
それが赤であると認識できる。
それは目をつぶって見える暗い画面には存在しない、
別の何かである。

つまり、直接見えている視覚の情報内に赤は存在しておらず、
想起によって再構成された赤の刺激がイメージとして、
つまり、認識対象であるが、特定の感覚器官と関連していない場所に
刺激だけとして存在しているという事になる。

このような刺激は、赤に限らず、想起によって認識される刺激はこのような存在の仕方となる。

実際の感覚器官の存在・位置が刺激として脳内に存在しない為、
刺激だけが脳内に存在しているように感じる(=認識する)事になる。

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赤の光

感覚器官・目・錐体細胞・桿体細胞(すいたいさいぼう・かんたいさいぼう:色は主に錐体細胞で受容)

励起信号

神経細胞ネットワーク

励起

赤の刺激

この中で、感覚器官としての目の色彩の受容能力と、神経細胞ネットワークの接続が、
あらかじめDNAの規定によって作り上げられている。
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後天的に認識するような刺激については、
その刺激の情報、刺激の定義は、感覚器官から得られるが、
例えば心地よさや痛み、空腹や満腹などの感覚は、
刺激として経験していない個体でも、生命としての誕生とともに持っている。
と考えられる。

つまり、生命としての誕生前の成長過程において、
本能として持つ刺激の感覚を受け取る神経細胞ネットワークの構成が完成されていると考えられる。

つまり、痛みを受容する感覚器官の形成過程において、痛みという刺激の定義は存在している事になる。

つまり、衝撃の接触によって体がつらいという刺激を受けた時に、
それが痛みという用語としてではなく、痛い刺激であるという受け取り方をして、
その痛い刺激に対して定義が参照され、それが痛みであると認識される事になる。
あくまで、痛みという定義は、後天的なものであるが、
純粋な刺激としての衝撃の接触については、その定義として結果的に痛みとしての定義を利用する事になる。
少々説明が煩雑(はんざつ)だが、
つまり、生命としての誕生後、一番最初に後に痛みとして認識することになる刺激を受けた場合、
最初は痛みであるという認識にはならないが、生命として本能で持つ、この衝撃的な刺激に対して、
痛いと感じる定義はすでに持っていて、この「痛い」という刺激が、
その刺激の定義から刺激として現れて、この刺激が存在するものとして認識されるという事になる。

つまり、刺激の「認識」が、この定義の再確認、という事になるというわけである。

つまり、刺激の認識の際に、この刺激の再確認として、刺激の定義が用いられるという事になる。
そして、この刺激の定義が用いられる事で、その刺激が刺激として認識できる対象になり得るという事になる。

これまでと「認識」についての認識が少し変わることになる。

依然として認識の定義のありかについては判明していないが、
刺激の定義が使われるタイミングにおいては、「認識時に使用される」という事が言えそうである。

つまり、刺激として痛みのテンプレートやクラスのようなものが定義として保有されていて、
そのインスタンス化によって、痛みが刺激として存在することになる。
という事になる。

つまり、刺激のインスタンス化のきっかけは、実際の刺激や想起をきっかけとしている。

これは本能における刺激であるが、この考え方であれば、後天的に学ぶことになる刺激についても、
同様にテンプレートやクラスとして記憶すれば、刺激として同じ様に扱うことが出来る事になる。

ということは、認識そのものが、刺激のインスタンス化によるオブジェクトによって行われていると考えられる。

つまり、刺激のインスタンス化、刺激がオブジェクトになることによって、
その存在を知る事が「認識」である。というわけである。

インスタンス化する条件は、その瞬間において、入力が継続している刺激である。

感覚器官からの情報受容の信号、もしくは想起による関連する刺激の励起をきっかけとして
刺激がインスタンス化される。

つまり、認識対象は、脳内に並行して存在する刺激の中で、最も認識対象として価値の高い刺激が選択される。
この選択は、自身が持つ価値観から自動的に価値が参照される。

つまり、刺激は意識的に選択されているわけではなく、その価値観によって選択されることになる。
ここに自由意志や、意図を含める事ができるのは、この刺激に対する価値観の定義に対してという事になる。

イメージとしては可変のフィルタとして価値観が働き、
その瞬間にもっとも価値の高い刺激が認識されるという事になる。
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入力情報

刺激のインスタンス化←刺激の定義

刺激のオブジェクト

刺激の価値評価・価値選択←価値観の定義

認識
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入力情報は、
実際の感覚器官で受容した情報による励起、
または、想起のきっかけとなる関連する刺激の励起。

刺激の定義は、本能で指定された刺激の定義、
または、後天的に得た刺激の定義。
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刺激の定義については、そのありかについては未だ不明であるが、
その使用方法や使用のタイミングについては、現時点で納得できる内容となった。

人工知能に適用するのも、 刺激についてはこれまでの再構成の方法と合わせる事で存在化はできそうである。

この先の話になると、
人工知能自身で刺激について認識する際の刺激の存在の知覚や感覚と、
刺激の価値評価や価値比較、価値観について考える必要があるだろう。

今日はこの辺で。


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