2023//5/2

刺激の情報の解明・その3・刺激の定義のありか

刺激の情報についての追加の考察である。
今回は刺激の発生から認識に至るまでの初期反応である刺激の定義と、
その定義のありかについて考えてみる。

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例えば桃色が桃色であるということは、
自らの視覚でその色の情報を見て、その刺激がそこに存在することを確認し、
その情報について人間が定義した桃色であることを関連付け、
記憶し、認識する事で自ら確定すること。

刺激はやはり、その情報はあらかじめ定義されていて、
生命としての誕生後にその情報の存在の確認とともに、
その刺激の存在を確認する事で実際の刺激になる。

人間の知能における刺激と呼ぶモノの扱いは、
人間が定義した情報についての意味と名称である。

刺激がそこにあるという事を感じる事、それが認識。

単に刺激を受けるだけ、それは刺激の知覚である。
その刺激に定義を与える事、つまり、定義を関連付ける事、
これが刺激の認識である。

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2023/5/3

感覚器官で変化を受容し、その変化の情報は、
その感覚器官が指定する情報として精査し、
その受容可能な情報だけを刺激として受け入れる事になる。

この情報は、神経を経由し脳内に送られる。

脳内の神経細胞は、この発生した情報の信号を受け、励起される。

励起した神経細胞は、この励起に対する刺激の情報を定義することになる。

(現時点でやや不明瞭な点は、この定義の情報のありかと、在り様である。)

刺激としての情報を定義された励起は、刺激の存在を現すものとして脳内に発現した事になる。

刺激の発現によって、脳内における最も強い刺激を今存在する刺激として認識する事になる。

これによって人間はその変化の情報を存在する刺激として受け取ったと知る事になる。

そして刺激を認識したという感覚を覚える。
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現時点で不明な点は、この刺激の定義情報のありかについてである。

脳の成長過程で経験する刺激によって定義されるとも考えたが、
心地よいとか、痛いとか、空腹とか、満腹などの刺激は、
生まれてすぐに持っている定義であるので、
全ての刺激の定義が成長過程で得られるものではないということは分かる。

何かをみて美味しそうと感じるとか、
日本人が梅干を見て酸っぱそうと感じるとか、
そういう刺激の定義は後天的に得るものもであるので、
後天的に得る事になる刺激の定義というのも存在することになる。

先天的に持つ刺激の定義。
文字そのままの意味であれば、先天的である事、すなわち本能で持っているものという事になるが、
では、本能のどこにその刺激の情報の定義が存在しているのか、これが分からない。

普通に考えればDNA上という事になるが、
生命としての誕生後は、
その情報が脳の神経伝達機能内に伝播して存在しさせおく必要がある。
DNAをデータの圧縮状態だとすれば、脳内に解凍してデータを配置しておく必要があるというわけである。
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感覚器官と対になっている神経細胞。
神経細胞同士のシナプス結合による関連。
刺激の受容の特定の野、配置が存在する事。

この辺りにその理由が存在するはずなのであるが、
まだはっきりとした理由が思い当たらない。

今私が見ている網膜内の一部にある黄緑色の色の刺激は、
その物体の形状に付随する色の情報として脳内の視覚内の一部のデータとして
脳内で認識されている。
網膜内で像を結んだこの黄緑色の物体の画像は、
脳内で黄緑色であるという光を受けた網膜内の一部の刺激として存在している。
では、この黄緑色であるという刺激の定義はどこで手に入れているか。
普通に考えれば、今回は視覚の感覚器官として網膜が選択した光の刺激である。

黄緑であるという刺激の関連を過去に見ていて、記憶してあるから、
その関連が励起されて黄緑であると感じているのだろうか。

それとも、これは黄緑であるという関連を本能で持っていて、
その関連が先に存在していて、その励起によって黄緑を感じているのだろうか。

考えられるのは、どちらか一方、または、その両方という事になる。

色覚異常の場合、網膜色素変性症では、網膜の側の異常であり、
先に赤や緑の認識を記憶している場合では、赤や緑が見えなくなったとしても、
赤や緑の想起はできるはずである。(第一・第二・色覚異常の場合)
先天的な場合、網膜上の異常によっても、脳や神経の異常によっても、
色覚異常は存在することになるが、先天的な全色覚障害(1色型色覚)の場合、
刺激の記憶を作る際の色覚がモノクロだけであるので、
その後の想起による画像は全てモノクロであり、
本能で脳内に色の定義が存在するかどうかが分からない。
ただ、全色覚異常の場合、もし色についての概念が認識できるなら、
その後の想起によって色についての想起ができる可能性があるが、
調べた範囲内だとそのような記録は無かった。

となると、刺激の定義は、
本能によって予め持っている刺激の定義と、
後天的に得ることができる刺激の定義が存在する、
併用した仕組みであると考えるのが、
最も現状を説明するのに都合が良いという事になる。

つまり、
本能によって予め定義されている刺激の情報と、
後天的に学習することのできる刺激の情報が、
脳内に存在できるという事になる。

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上記の刺激の定義情報を提供する存在について1つ気になっているのが
グリア細胞の存在である。

元々は神経細胞の補佐的な細胞として位置づけられていたが、
最近はグリア細胞自身に受容体が存在する事や、
リガンド結合によってグリア細胞自身もイオン物質の放出などを行っていると分かってきたらしい。

そもそも神経細胞の50倍くらいの数が存在するらしいし、
神経細胞以外で情報を保存するには十分の数が存在する。

現時点では正確な事は分かっていないが、
その配置によって神経細胞の励起に対する、
刺激の定義情報に関係しているとも考えられる。
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刺激の定義は、その後の刺激の認識において、
刺激の存在が、そのまま情報の存在として認識される事になるので重要な事となる。

人工知能の刺激の定義においては、
感覚器官から得られる刺激の定義を本能として先天的にプリセットしておき、
その後、後天的に学習できる刺激の定義を記憶できるようにする事で再現できる事になる。

ただ、人間の実際の刺激の定義が不明瞭であるので、
その後の理解で変更するよりは、今のうちに、より深く考えておく方が良いとの判断で今に至るのだが、
現時点では機能が再現出来ればそれで良しと受け止めるべきだろうか。

生物の脳は、その認識のあいまいさによって、その知能の働きの速度を得てきた。
つまり、できるだけ大雑把に情報を扱う事で、
その変化の速度に対応してきたわけである。

今回の刺激の定義にしてもそれほど複雑な機能は持ち合わせていないと考えられるが、
この情報の定義は生物の知能においても、人間の知能においても、
人工知能の知能においても刺激情報の基礎となる部分なので、
しっかりと考えておく必要がある。

脳内にこの定義が存在しているのは分かっているので、
現時点では刺激の情報についての定義の仕方が分かった所までにして、
刺激の定義については今後も考察の対象として残しつつ、
改めて何か気づいたときに再考する事にする。
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今1つ思い出したが、
感覚器官から受容した刺激の経過が、
神経細胞の励起による記憶と、その励起による同期した想起であるなら、
刺激の情報の定義は、やはり想起による刺激の再構成時に利用され、発現するものだと考えられる。

つまり、脳が思い出すという事自体に、その刺激の意味が発現するという事になる。
結果的にそれが認識されればという条件も付くが、
想起時に刺激の定義による刺激の情報、意味付けが行われると考えられる事になる。

つまり、刺激の定義は、本能によるものか、後天的に記憶するものであり、
刺激の定義が利用されるタイミングは、想起時という事になる。

つまり、想起時に利用される部分に、刺激の定義が存在している事になる。

今日はそろそろ時間が無いのでこのくらいにしておく。
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刺激の定義の次に考える事は決定している。
刺激の「認識」である。

感覚器官からの受容した刺激にしても、
想起によって脳内で発現した刺激にしても、
刺激の存在は、その定義の後に認識されることになる。

「価値評価」と「価値比較」がその主たる論点になると考えている。

今回はこの辺で。


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