2023/4/22-2023/4/24

刺激の種類と刺激の価値評価

これまでの考察のまとめとして少し基本的な内容について考えなおしてみる。
今回は刺激の種類と、その刺激の価値評価について。

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価値の種類について:

刺激は感覚器官から受容する刺激と、
刺激として認識した際に記憶して、後に想起によって生じさせる刺激がある。

どちらも神経細胞ネットワークの励起によって刺激となり、
認識の際においては、どちらも刺激として識別できるだけの情報を持つ事になる。

刺激として同じ意味を持つ刺激であって、認識の際にはどちらも同じ刺激であっても、
直接感覚器官から受容した刺激の方が、同時に存在する関連する刺激の量は多く、
構成される情報量は多い、
想起した刺激の場合は、実際に感覚器官から受容した刺激よりも、
強度は低く、関連する情報量も少なくなっている。

これは、認識において、一度に認識できる情報量に上限があることが原因と考えられる。
以前マジカルナンバーで書いたような、ある情報の認識に対して関連付けられる情報量には上限があり、
1つの情報として同時に認識可能な刺激の情報量には限界があるということが考えられる。
そのため、感覚器官において直接受容する刺激については、
同時に多くの関連する刺激の励起が存在していて、その情報量が多い為に、
そこから取捨選択する形で、情報の選択が行われ、
刺激の情報の価値評価において、強い刺激が優先的に関連して、認識に至るが、
想起によって生じる刺激の場合、主たる刺激については想起の対象として、
情報を高く価値評価することになるのであるが、それに関連した刺激として同時に想起する刺激というのは、
その刺激の情報を構成するための、さらに関連した情報が限られているために、
感覚器官からの取捨選択に対して、想起の場合は付加という形になり、
その関連する励起としての刺激の強度が低く、
結果的に認識される時の情報量が少ないということになるのではないかと考えられる。

つまり、記録されるオリジナルデータの強度や精度にくらべ、
再生される再現データの強度や精度が落ちるという事になる。
これは、脳が生体であるということの制限でもあり、扱われる情報が定量的でないことも関係している。

これまでの考えである、刺激の強さは、
感覚器官からの刺激>想起による刺激
という事が言える。

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人工知能における注意点
人工知能が認識時に記憶する刺激が定量的であり、
刺激の再現時に精度や強度が落ちないと考えると、
人工知能は想起時に、経験した時とまったく同じ刺激を想起できることになる。

人間でこれができる事を考えると恐ろしい事になる。
良いことも悪い事も、経験した時とまったく同じ刺激を認識する事になる。

恐らく人間ではこの認識には耐えられないので、
人工知能においても、想起時の刺激の構成は、その強度を一定割合で低下させる必要がある。
これは、人間における感情を人工知能にも持たせた場合に必要となる。
感情が、ある刺激に対する反応として生じる刺激であるからという理由である。
つまり、想起であっても強すぎる刺激の場合、感情の発現に大きな影響を与えるからという理由である。

参考:241~245
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刺激の情報は以下の経路で認識に至る。
脊髄や小脳などの器官の経由は割愛するが、刺激情報の移動については以下の通り。

直接の刺激の受容の場合:
環境か個体の状態変化の情報→感覚器官→
(神経の経由)→(脳)→神経細胞ネットワーク→(神経細胞の励起)→刺激の構成→認識

想起による刺激の場合:
想起対象以外の神経細胞の励起→(シナプス経由の励起)→神経細胞ネットワーク→
(神経細胞の励起)→刺激の構成→認識

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価値評価について:

価値評価については認識の際の刺激の構成要素として考えられる。
これまで人工知能において刺激の再構成として考えてきた内容である。

人間の知能においても、認識する際に、その刺激がどのようなものであるのか、
どのような情報であるのかということを構成する必要がある。

刺激を受けて、何の刺激であるのか分からないというわけにはいかない。
感覚器官から受容され、神経細胞ネットワークが励起された時点で、
その刺激にどのような意味、情報が含まれているのか識別しないとならない。

つまり、この時点で、今回新たな考察対象として、
本能としての機能の中に、
ある刺激を対象とした情報の構成要素が存在するのではないかという事を考え付いた。

つまり、その刺激が何の刺激であるのか、ということを知能が知るために、
生体はあらかじめその刺激が何であるのかという意味や情報を構成するための情報を持っていて、
この情報の組み合わせで、
その刺激がどのような刺激であるのかということを組み立てることになるのではないかと考えた。

つまり、後天的に学ぶ情報ではなく、先天的に、本能として、
その刺激がどのようなものであるのか感じるための情報を持っているという事である。

これは、本能として持っているのは、
刺激を認識するために必要な情報塊を構成する要素であるという考えである。

つまり、感覚器官から受容された刺激に関する情報は、
例えば、痛覚であれば、その感覚器官の存在する部位に痛みとなる刺激が与えられ、
その痛点が刺激として受容したその刺激の情報を脳の神経細胞ネットワークに伝え、
その神経細胞ネットワークが、その痛みとしての情報を認識に耐える情報塊として、
その痛みの情報を構築し、その情報が構築されたその働き自体によって、
それが痛みという刺激として認識されることになる。

この場合、痛みが痛みであるという感覚は、
生命として生まれた後に得る情報ではなく、
生まれた時には持っている感覚である。

ということは、生命の本能という部分に、
この痛みが痛みであるという価値評価能力を既に持っているという事になる。
これは、他の感覚であっても同じで、
空腹や満腹、痛みや心地よさ、暑さ寒さ、苦しさ、
なども既存の能力として価値評価能力を持っている事になる。

もし、この価値評価能力を持っていないとすると、
生命として生まれた後、何らかの刺激を受けた際に、
その刺激が何の刺激であるのか認識できない事になる。

つまり、人間は生また時点で痛みを痛みとして知っているという事である。

これは、感覚器官が痛みの情報を作り出しているわけではなく、
脳がその刺激に対して痛みの刺激であるという価値評価を行って認識しているのである。

つまり、刺激を刺激たらしめているのは、
この刺激に対する感覚という意味付けによってという事になる。

そして、感覚には人間にとっての快不快、良し悪しの評価の意味を持っている。

基本的に痛いのは嫌である、心地よいのは好きである、
満腹は好ましいし、空腹はつらいものである。

自ずと、
心地よい、好ましい刺激は良いという価値を持つ。
苦しい、いやな刺激は悪いという価値を持つ。

これは、刺激全体にも言えて、
想起で生じる刺激についても同じ評価が用いられる事になる。
良い価値を持つ刺激、対象は良い対象である。
悪い価値を持つ刺激、対象は悪い対象である。
という評価がされる事になる。

感覚には個体差があるので、その評価にも個体差が存在することになる。

感覚は価値評価を経由することで感情にも関係する事になる。
感覚→価値評価→感情

ということは、
刺激が、この本能として持っている感覚の価値評価によって、
その良し悪しの評価が行われるものだとすると、
価値評価全体を「認識」の機能であると考えると、
脳内で刺激がどのような刺激であるのかという情報が組み立てられるその事自体が、
「認識」の機能そのものであるという事になる。

つまり、
刺激の価値評価=本能が持つ刺激の感覚の価値評価

つまり、認識が刺激を知覚するという意味での知るという知能の機能であるなら、
刺激の価値評価というものは、そのものが刺激が持つ情報を認識するために行う機能という事になる。

つまり、
刺激の価値評価=認識
という事になる。

そして、この刺激の価値評価に含まれるものが、
これまでの価値観における刺激の評価そのものという事になる。
つまり、

価値観=刺激の価値評価の記憶

ということは、

価値観=認識の記憶

という事にもなる。

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認識の選択の際に重要なのは、この情報としての意味合いよりも、
刺激や価値の強さ、大きさが優先されるが、
欲求や目的となるような場合や、想起の対象について考えると、
元々の刺激の強さ、大きさよりも、価値評価された情報の方が優先されていると考えられる。

つまり、想起対象として
連動して想起される刺激というのは、
元々の刺激に対して関連が強い、大きい事が重要であり、
関連した先の刺激の記憶そのものが元々強いか大きいという事とはあまり関係が無いという事である。

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知能における刺激の扱い方については、また後程考える事にする。
今回はこの辺で。


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