2023/1/27

自我の解明・その2

前回221で自我の新しい認識について考えたが、
今回はそのまた続きの考えである。

昨日の時点で、自我が知能の中における自分の想起した姿であるという事になった。
そして、その想起した自分において、その関連した対象が自分に対してどれだけの影響力を持つかが、
その自分の自我に対する価値の高低ということであった。

その続きでいきなりだが、
どうも「自我」という言葉を使いながら考えているとその先入観でその思考の幅が狭くなっているように感じたので、
今日はできるだけ自我を使わないで知能全体について考えてみた。

というのも、どうもこれまでの人間がはっきりとした定義のできない用語を、
あいまいなまま用いても何処にも思考が収束しないだろうと考えたからである。

どうせ新しい考えが必要になるなら、はっきりとした認識のできる対象だけで考えようというわけである。
ただ、あいまいな定義のままでいい場合はそのまま「自我」は使っています。

ということで、今回考えた課題は、
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まず、最初に、

・動物も必要なら自我を持っているはず。
人間だけが自我を持っているなら人間だけが必要とした理由があるはず。

これは自然界において、動物はその能力として体の各長所を利用し、
その生活する環境に適応した結果として最も効率的な姿を獲得し、
その環境に適応しているから、知能の機能としての自我を必要としていないという事になる。
であるなら、人間は、その生活する環境に適応するために最も効率的な能力として
その知能や自我を手に入れたということになる。
逆に、人間のようなこれだけ多様な環境に適応できる動物は地球上には他に居ない。
人間はその個体としての能力が特別に特化しているのは脳・知能だけであるという点が他の動物と異なる。
力や移動速度は他の動物から比べると並みであるし、手の器用さなどは特化されていると考えられるが、
特化というよりも汎用であると言える。
汎用性に特化した結果として、特化された適応性を手に入れたということになるか。

この考えの時点で自分について、自我について、その必要性を考えるとすると、
動物が主観的な認識だけで成り立つ知能であるなら、
人間は客観的な認識というものは存在しないが、
その存在としての自分自身に対しての認識を持つ、つまり、
自分自身に対して、自分が価値を設定して、認識することを行っている。

つまり、人間の脳は、その認識する機能として、動物が主観的な刺激のみを認識する事に対して、
それ以上の認識能力として、自分自身さえも認識できるようになった、
というか、それだけの脳の能力を増やしたという事になる。

そうそう、これは221でも書いたが、
生命誕生の中において、卵がその進化の過程をなぞるようにその姿を変化させるように、
その脳の成長にも同じことが言えるのではないかと考えたわけだ。
つまり、体の成長に合わせ、人間の脳は一定年齢までその容量を増やしながら成長を続ける。
その脳の成長の過程で自分や自我といった対象を認識できるようになるという事。
つまり、一定年齢までは、動物のように主観的な認識だけの時期というものがあり、
その動物がそこで止めしまった脳の成長の先を人間の脳は進化としてその脳の能力を高める成長を続け、
その結果として動物が持ちえなかった自分や自我の発現と、その認識にいたるという事になるのではないかというわけである。

その脳の能力が人間の適応力の汎用性に効果的であったという考えになるが、
その動物の先の自分や自我の認識が何のために、何の価値の為に認識されるようになったのか、
それについて考えてみると、
次に得る能力は「思考」ということが思いつく。
つまり、客観的にさえ自分を認識できるなら、その客観的な自分をある異なった環境において適応させる場合に、
「思考」することが出来ればその価値と目的を繋ぐことができるという事になる。
つまり、動物がそこにある環境から与えられる刺激にだけ適応してきたのに対して、
人間は自分の存在をその環境に置いて、その環境から与えられる刺激に対して「思考」できる能力を持っているということ、
つまり、動物はその環境の中にあって刺激を受けるだけの存在であるのに対して、
人間はその脳の成長の後、その環境において自ら影響力を持つようになるということ。

今ふと思いついたのは思春期の反抗期。
この反抗期時期に自分や自我ができていると考えるのがもっともらしい。
確か思春期が第二次反抗期であり、第一次がもう少し幼少期にあって、この辺りから自分の我というものが見られる事になる。

それが自分や自我の発現や、その後の認識に至るという事であれば、
それが脳の成長における動物と人間の差が生じるタイミングということになる。
とすると、人間の第一次の反抗期、俗に「いやいや期」辺りでその差が生じ始める事になるか。

一般的な動物で頭が良いとされているカラスとかでも確か2~3歳児くらいだったはずであるし、
人間以外の類人猿でもう少し精神年齢が高い場合もあるが、人間のように自分が自我の認識までは到達していないだろう。

この人間における自分や自我の存在がなぜ必要になるのか。
これが無いとすると自ら環境に対して適応できる能力が無いということになるのではないか。
つまり、自分や自我の存在は、積極的に環境に適応するための能力ということになるのではないか。
自然界においてはその名残り(なごり)ということになるか。

単純に置かれた環境に適応するだけであるなら自分や自我のようなものは存在しなくても適応できる。
その場の環境や変化に即時対応するだけでいいからである。
その特化型が人間以外の動物ということになる。
人間はその能力が汎用的で低いが故に協力し合う必要があり、
そのために各「個」が必要になったということか?
役割か。汎用的すぎる能力故に役割を受け持って専門性、特化した能力とする。
その為に自分や自我を作り出す必要が生じて、その脳の能力の高さによって
それが適った(かなった)ということか。

もし人間が個別に自然環境に適応できる能力を持っていたとしたら、
種としての存続する理由の為に自分や自我が生じる余地はあるか?
まして、社会性を持つ事はあるか?
現在の動物を見ても、個別の能力が高ければ高い程、単独で行動する傾向が見て取れる。
とすると、人間の自然界への適応は、その能力の特化を脳に集めたということになるか。

現代社会が複雑化しすぎているから、その認識の中における自分や自我の存在も一見複雑に見えるが、
その根本にある本質的な自然界への適応という観点からすると、
人間の自分や自我の存在というのは、人間が選んだ適応としての社会の中の個としての自分の存在ということになるか。

だから自分で自ら「もっともらしい自分」を作り出して認識することになるのか。

人間の価値観において自分が常に最も高い価値ある存在でない事もあるということもその適応の一環か。

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次回以降の課題としては以下がある。
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・対象の認識において、価値比較がそのまま認識や意識に関連しているが、
その価値比較が行われる価値観の高低において、自分が関連している要素はどれだけあって、
どれだけ自分の存在に関係しているのか。
そして、自分を想起した際に、その刺激や価値はどのような意味を持つのか。
そして、それらを認識したり意識したりする際に、自分で自分について気づくことはできるのか、
そして、気づけるならそれは自分を認識し、意識していることになるのかと、
気づけていないのなら何が足りないのか。

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・自分が思考していると認識している時に、思考に用いている機能や動作はどのようなものであるかということについてである。
これは、自分の認識した価値ある対象について手に入れようとする際に、
その行動を決定するために行う思考についての機能や動作ということになる。

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・脳の思考する機能における手持ちの札は想起のみ。
であれば、知能は自分の価値の目的の為に行動する、その方法を探る事。

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・生命の基本は生きる事。
思考がその役割を果たす目的となる機能は何か。

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・認識のあいまいさの中での思考
想起は既に記憶している刺激からしか行えないが、
そこから新しい刺激の関連を生じさせる事が思考。
であるなら、その認識に「あいまいさと許容の幅」があるなら、
思考がある対象と別の対象の新たな関連を作り出すことであるなら、
あいまいなままの認識で行う思考とその結果にはあいまいさが残ることになる。

だが、
あいまいさはある対象の関連全体の姿であり、
各個の刺激そのものについては確実な姿の刺激が存在している。

認識する対象があいまいさを許容するのであれば、
その認識する対象はその関連全体においてもあいまいさを許容することになる。

自分に対して建前と本音が存在するならば、
自分自身が自分や自我に対して認識する場合においては、
その対象にあいまいさが存在する事になる。

偽りが必要ない分、他の対象よりは正確であるが、
自分の事もそれほど正確に認識できるわけではない。という事になる。

自分を構成する要素は、刺激1つ1つが正確であるが、
全体でみるとあいまいであるという事になる。

あいまいであるがゆえに多様性があるということでもあるか。
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・自分に対しての認識において、
その自分に関連する要素は全てが自分に関連している。

そして、それら1つ1つはそれぞれ自分にとっての価値が設定されている。
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お腹も空いて来たし、
頭も疲れてきたので今日はこの辺で。


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