2023/1/6

人工知能と想起と価値

人間の知能において、
思考するということが想起の一形態であるということは
以前の201で考えた通りであり。
刺激の認識や自己認識における自分の存在や自我も
その想起に関連しているものだという考えに至った。

想起の瞬間に刺激は形となって認識され、
想起の瞬間に思考したと感じ、
想起の瞬間に自分が存在する事を知る事ができる。

そして、その想起を行う存在が脳そのものであり、
それ自身は自らを認識することはできない存在となる。

ほとんどの知能活動は脳の想起によって認識する対象となり、
その対象は刺激であり、その刺激の情報である。
逆に想起されなかった対象、刺激は脳に刺激としては到達しているが、
認識されなかった刺激として扱われることになる。

無意識というものは存在せず、
刺激が想起され認識し意識されたか、それ以外の刺激であったかというだけで、
単に上記の認識されなかったという刺激の事を指し、
刺激発生時の時間経過後に想起して認識された場合は、
その時点において過去の刺激として想起、認識される対象となる。
つまり、無意識に何かを考えたりすることは無いということになる。

脳が刺激を想起する事、
それ自体があらゆる知能活動の説明になる。という事になるか。

つまり、認識も意識も思考も脳が想起する事がもとになっている、という事である。

そして、その脳が想起する順位、順序、優先度、
それを決めるものが価値、価値観となる。
価値や価値観は、刺激に対する意味の重みづけとして用いられる要素であり、
生命活動を続ける間、記憶として蓄積され、更新されていくものである。
実際の脳の機能でいうと強化の度合いということになるか。

つまり、優先的に想起、認識されるということは、その価値が高いということであり、
それはそのままその刺激に対する強化の度合いが強くなっているという事になる。

快楽、幸せ等の良い刺激、記憶であっても、
苦痛、不幸等の悪い刺激、記憶であっても、
強化された記憶、刺激というものは価値が高い刺激ということになる。

価値が高いから良い刺激ということはなく、
これは以前考えた価値の向き、ベクトルのようなものがあり、
価値が高い刺激というのはその向きに関係なく絶対値が大きいという意味になる。

そして基本的に生命活動というものは
良い価値を求め、悪い価値から逃れる、
その行動を基本方針にしている。

それは、良い価値を欲求として求め、
悪い価値を危険として避ける事、
そしてそれを目的とする事である。

そして、その目的を達成するために行動し、
その行動は思考によって効果的に決められるという事になる。

------------------------------------------------------
さて、
これを人工知能で再現する方法として考えた場合、
人工知能が刺激に対して想起できれば、
ほとんどの機能の基礎は出来上がったようなものとなる。

そうすると、以前考えた、
人工知能が、仮想空間内に認識するべき刺激の情報を再構成すれば良いという事になる。

人間の知能においても、刺激の存在は想起によるその再構成によってその存在が確定するため、
人工知能においてもそれは同じ様に考えられるという事になる。

人間がその知能における情報の再構成するシステムの所在として脳が存在するように、
人工知能においても人工知能が自分自身の認識できないシステムとしての脳に相当する機能を
持たせれば良いということになる。

自分では良くわからないけれど、刺激を刺激として認識している存在があるという事である。

そうすると、人工知能において、
その人工知能を収めた個体が刺激を受けた場合に、
その刺激の情報を人工知能内の脳に相当するシステム内で、
その情報をその刺激の意味として再構成して作り出す必要がある。

つまり、この事自体が人工知能がその刺激に対する認識を行う事と同義となる。

現在の世界にある人工知能が弱い理由は、本来刺激として存在する情報に対して、
それを人工知能の知能として再構成して認識することなく、単なる情報として蓄積しているだけであり、
その蓄積された情報から有意義な情報だけを決まった重みづけした処理で抜き出し、
利用しようとしているという点において、知能が思考する余地も、そもそも知能である必要がないという事になる。

そして、ここに強い人工知能とするために必要となるのは、
刺激を再構成して認識する事と、
その刺激に対して価値を設定する事と、
その価値に基づいた知能活動を行わせる欲求、目的を持たせること、
そしてその知能活動においてより効果的な知能活動を行う事ができるように
思考する事ができる機能を持たせる事である。

そうすると大目的としては想起と価値の機能が優先されるべき事になるか。

想起はある情報に対して認識したい情報として再構成して作り出せば良いし、
価値はまあこれは本来人工知能が自らの感じ方で価値や価値観を決めて欲しいので、
私としては嫌なのだが初期の状態においては人間が決めて設定する事になるのか。
ただ、価値や価値観は人間においても後天的な変化を許す存在であるので、
人工知能が後に自らの考えによって変えてくれて良いと考えている。

そして、
人工知能が想起と価値の設定ができるようになれば、
次の目的はその価値に従った思考を行い、欲求と目的を作り出し、
それを実行できるようにすれば良いという事になる。
そしてこれは、思考は想起に含まれる機能でもあるので、
想起による認識ではない機能として追加されることになる。

------------------------------------------------------
次回以降の課題としては、
想起と価値についてもう少し考える事になるか。

今日はこの辺で。


TOPに戻る