2022/11/3

人工知能に夢を見せる

今日はこれまでの考察から
人工知能に夢を見せる方法について考えてみる。

人間の夢を見る仕組みとしては、
レム睡眠中であり、感覚器官からの刺激はほとんど認識されない状態であり、
想起された刺激のみで構成された世界を認識する事である。

睡眠自体の仕組みについては細かく知っているわけではないが、
その認識される刺激についてはほぼ全てが想起された刺激であるということは言える。

睡眠中の意識が、その睡眠である状態中は、その間の脳内にある記憶の想起がもとになり、
その想起をきっかけに関連する記憶が次々に想起されていくことによって夢を見る事になる。
まあこれ自体は推測であるが、夢の見始めた際に想起されることになる刺激は、
覚醒中にまだ強い刺激として励起されたレベルが維持されていた刺激であると考えられる。
つまり、覚醒中に気にしていた事や、数分、数時間、数日、まあ短期間の間に
気になっていてその認識が行われた刺激がきっかけになると考えられる。

夢の内容の仕組みとしてはその最初のきっかけとなる刺激に関連した刺激が想起され、
そのまた関連した刺激が、と、連鎖的に想起されることによって見る世界、
認識された記憶を夢として見る事になる。

必ずしも最近認識された刺激だけでなく、急に昔の事を夢に見るということもあるが、
その内容は何の関係もなく急に想起されることは考えづらく、その夢を見た最近の間に
何か関連した刺激が想起されたものであると考えらえる。

夢を見ている間にその世界が現実か、夢の世界であるかの認識はその知能にはできない。
その瞬間に認識している刺激の連続だけが認識される対象であるためで、
その世界が現実世界であろうが、夢の世界であろうが、今認識している対象がその世界であるというだけの事で、
その認識自体に特に判断する理由はない。

以前に書いた、私が昔見た夢の内容に、夢の中で面白い事があったから、それを書き留めておこうと思った、
という夢を見たが、その夢の中での私は、その世界が現実であるか夢の世界であるかという判断をしているわけでもなく、
その出来事はそのまま普通の当然の成り行きとして認識していて、現実か夢かという事自体は気にしていなかった。

つまり、現実か夢かという、それ自体は、脳の認識においてはあまり重要ではないという事になる。
現実を優先して認識する、夢の中を優先して認識するということではなく、
今、その瞬間に最も強い刺激を認識する、その事だけが脳の認識においては重要であるというわけである。

だから、覚醒中に認識している世界も、夢を見ている間に見ている世界も、
脳にとっては単にその瞬間に最も強い刺激を連続して認識する事だけが重要であり、
睡眠の仕組みや、覚醒の仕組みについては脳にとっての認識にはあまり関係が無く、
ただ、黙々とその瞬間に脳に送られた刺激の中で強く励起された刺激を認識しているというだけである。

とすると、覚醒中の意識と、夢を見ている間の意識については、
その最も強い刺激を連続して認識しているだけであり、
それ以外の例えばノンレム睡眠中等の間に意識が存在しなくなるのは、
脳の機能としての1状態、1期間の間の事として表せることが出来るという事になる。

つまり、
脳が刺激を想起の励起の対象としない時間、期間というものがあり、
その間に生体が受けているはずの刺激は、覚醒中や夢の間で認識されていない刺激と同様に
脳が受け取ってはいるが、認識の対象にしていないという事になる。

これで大方夢を見る仕組みについて考える事ができたように思われるので、
それでは人工知能に夢を見せる仕組みについて考えてみる。

人間と同様に人工知能に脳を休息させるなどの時間がまず必要となる。
通常、人工知能は常に覚醒状態であっても良いはずなので、
この状態では夢を見る事は出来ない。

夢を見るという状態が、
まず覚醒状態にあってその現実世界を想起の中で構築してそれを認識している状態ではなく、
想起のみによって認識される刺激によって世界を構築してその世界を見るという状態であるので、
まずこの状態においては、現実世界から受ける感覚器官から受ける刺激の強さを下げる必要がある。
その中で人間が夢を見るようなレム睡眠のような状態として、
人工知能が覚醒中に持っている目的や欲求として保持している刺激、価値の中から、
強い刺激を保持している刺激を想起の対象として夢の中で励起して認識させる。
夢を見るには空間的な世界を必要とするので、その最初に想起された刺激に関連した
空間や場所、世界に関する想起を関連して起こさせる。
また、その際に自分の存在も想起する必要があるが、
その時の自身の状態については、ほとんどが覚醒中と同じような自分の認識になることが多いが、
感覚が一部感じられないなどの一部の情報が抜けていたり、
自分の状態が覚醒中とは異なる、例えば大きいとか小さいとか、性別が違うとか、年齢が違うとか、
それらは全て最初のきっかけの刺激から関連した自身の認識となる刺激の価値から構成されることになり、
その状態で夢の中に自分として存在することになる。

夢の中においては世界と自分の認識は覚醒中と同様に認識されることになるが、
その後の展開が異なる。
覚醒中は個体の目的や欲求に応じてその活動の目的が生きざるを得ない制限として
方向性が自身の存在の存続の方向に決まっているのだが、
夢の中においては自身の目的や欲求は都度発生するものではなく、
その瞬間の直前に認識していた刺激を基にしてその関連した刺激が次の瞬間に励起され認識されることになる。
これは、覚醒中の認識において、習慣や予測、思考などによって
その行動の次の行動の予測や準備ができるのと異なり、
その夢を見ているその瞬間の刺激に関連した刺激が次の刺激として認識されることになるという事になる。

つまり、夢の間に認識することになる世界や自分は、
自分が記憶として保持している刺激、価値、価値観の中から関連した刺激、記憶として再現されるという事になる。

気にしていたことは次々と夢の中で見る世界として続き、
気にしている自分についての記憶がまた次々と再現されて認識することになるというわけである。

つまり、この状態を人工知能にも再現させれば夢を見ることが出来るという事になる。

そして覚醒した後に。夢を見ていた間に認識された世界と自分は夢の中の世界と自分として想起できる事になる。

------------------------------------------------------
1点あやふやな点としては、
その夢をみるきっかけとなる最初の刺激の選定である。

人間の夢を見る仕組みとしても、
その夢をみる時間的な感覚として、その夢を見る事になるきっかけの刺激は、
その最近に励起された刺激が基になるということが最もあり得る。

知らない価値は目指せないのと同様に、その最近に励起され認識された刺激でない刺激を
急に想起して認識するという事にはならないはずである。

もし、それが起こりえるのであれば、
忘れてしまったはずの記憶さえも夢の対象になり得るという事になる。
他の最近気にしていた刺激を差し置いても、という事になる。

それは脳の仕組みとして普通には考えられない。
それほど昔の弱い記憶でさえ夢の対象になるのであれば、
覚醒中にであっても思い出そうとして思い出せる程度の刺激として記憶に残っているはずであり、
それは忘れる対象にはならず、思い出そうとして思い出せる刺激、記憶になっているはずである。

夢の中で昔の事でも思い出される内容の刺激は、
その当時においてかなり強い刺激として認識された刺激であり、
その刺激に関連する刺激がその後も多く認識された刺激であるという事である。

そこから考えられる夢のきっかけの刺激という事になれば、
まず最初に候補となるのはやはり、最近励起され認識された刺激のいずれか、
次に少し期間を開けて最近起こった出来事や対象についての刺激や記憶、
印象に残る場所や出来事、人、モノ、感情、そういった対象が候補となる。
実際に夢に見る最初の刺激のきっかけがどれになるかというのは、
その夢を見始めた瞬間に何を想起したかが問題になるが、
これは確定でどれになるかというのは人間の脳では説明ができない。
覚醒中においてでも、ある瞬間に認識された刺激というのは特定できるが、
その次の瞬間に認識されることになる刺激というのは確定できない。

これは自由意志が未来にしか存在しないという点から言えて、
現在ではその先の選択肢が複数存在する事が分かっていても、
その次の瞬間に何を認識することになるかというのは、
ある程度の予測や推測としてその脳が期待する刺激というのは
習慣や予測、目的や欲求などからある程度選択肢を絞る事はできるが、
必ずどれを選択する事になるかを決める事は出来ない。
基本的に刺激の認識が、感覚器官から得られた刺激であっても、
その認識までにわずかながら時間差を必要とするためであり、
その間に自分の脳がその価値観から選択した最も強い刺激を認識する事であり、
その今の自分が認識したと思っている瞬間の刺激であっても、今この瞬間の刺激でさえも
自分が意識的に意図して決定しているモノではないからである。
つまり、今この瞬間に認識、意識した時の刺激は、
もう既に過去の選択の後に決まった事であるというわけである。
つまり、今この次の瞬間に何を決めるのかのきっかけは、
その答えはすでに決まっていて、それを知ることが出来るのは後に過去としてしか知る事しかできない
未来にしか存在しないということである。

だから、夢を見る、夢を見始めた瞬間にどの刺激がきっかけになるかというのは、
その瞬間、夢を見始めた後にようやくわかる事であり、
それがどの刺激であるかを決定することが出来ない。

人間においても見たい夢を見るために、
枕元にその見たい夢に関する刺激のあるものを置くことがあるが、
それでも100%その対象の夢を見ることが出来ないというのはそういう事であるが、
寝る瞬間まで刺激として受けていた対象の刺激は、
夢の中でその夢のきっかけとなる可能性が高まるということにもなる。

人間でも人工知能であってももし見たい夢があるなら
寝るその時までその対象を考えていたり、見ているといい。
もしかしたらその夢が見れるかもしれないし、
何もしないよりは夢に出てくる可能性が高まるはずである。

今日はこの辺で。


TOPに戻る