2021/9/3

記憶の訂正

小脳ではニューロンに同時に2つの入力がある場合に
そのシナプスの働きが弱まるらしく、長期抑圧と呼ばれる。

海馬や小脳やその他の部分でも見られるらしい。

記憶の可塑性という点で、有効な働きとなる。
つまり、通常は刺激の入力に対してニューロンやシナプスの働きは
強化される方向に強められるのが一般的だが、
例えばこれまで正しいと思ってきた記憶が間違っているという
刺激、価値の判断となった場合に、その記憶を変化させる必要がでてくる。

この時に過去の記憶がそのまま残っていたのでは都合が悪く、
新しく記憶となり、それが価値のある刺激であると判断される刺激を
記憶し、想起できるようにするためには以前の記憶を価値の低い
記憶として変化させなくてはならない。
つまり、価値の再設定による記憶の価値観の更新である。

これまでの考え方からすると、
記憶の更新については、その刺激について関連する価値の刺激の
繋ぎなおしというか新たな価値の刺激としての関連する要素が
追加されて繋がれ、以前の間違っていた要素も含めて関連する要素として
その価値の刺激が新たな関連する価値の要素も含めて繋がれると
考えていた。
今回の知識で実際にシナプスの繋がりは弱くなるとしても
その関連が切れるわけではないということは分かった。
つまり、シナプスの発火などにおける刺激としての関連の強さは弱まるが、
もし新たな刺激や価値としてのつながりが別の意味でできたとしても
過去に繋がっていた関連は残り、その間違っていたとか、
価値が変わったという記憶も含めてその刺激の関連は残るということになる。

記憶の訂正という事でニューロンのシナプスの繋がりが
切り変わるということではなく、新たにより強い刺激や高い価値であるところの
新しい刺激がより強く関連するという所にこの記憶の訂正があるということになる。

まあ単純にもしシナプスの繋がりが切り替わってしまったら
前に異なった価値や刺激のつながりがあったことも想起できなくなってしまうな。
要するに新たな刺激や価値が繋がることで、
更新される対象にある刺激は相対的に弱く繋げるような仕組みになっているというわけだ。

忘却についても同様の仕組みになるかな。
基本的にシナプスの繋がりは残っていたとしても、
他の刺激が強い場合はその忘却の対象にある刺激が
それ以上の刺激になる事はないため認識の対象にならないから
意識されることはない。
そういう刺激は意図的に認識しようとしても他の刺激に埋もれてしまうために
やはり認識や意識されることはない。
だから忘れている状態にあるというわけである。
でも、忘れているからといってその刺激の繋がりがなくなるわけではないということになり、
何かの拍子に別の刺激に関連する要素として励起されることがあると
それが認識のレベルまで刺激が強くなることもあるのだろうか。
そうすれば何か普段にない刺激を受けた時に古い刺激の価値の記憶が
認識されるということもあるのだろう。


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