2021/8/24

人工知能と倫理

倫理は人間がこうあるべきとか、
こうであれという考え方の事であるが、
これは、人間がお互いの社会を構成する上で、
互いにできるだけ波風立たせずに過ごそうという事の考え方である。

社会を構成するにはどうしても
互いの折衝やら、意見の相違による諍いが生じることになるが、
これを倫理という人間の存在の規範となるような
判断の仕方を記録として集め、一つのルールにしたのである。

しかし、現在でも倫理の主な問題は解決していない。
まあ解決していないから今でも議論が繰り返されるのであるが、
人間には自己の価値観が存在する故に
どうしてもその判断に差異が生じるのである。

倫理についても、過去の多くの人間が、
できるだけ、そう、恐らく出来るだけ客観的に人間の善意に基づき
その答えを積み重ねていったものであるが、
その答えでさえ絶対的な答えではない。

その時代、その時の人間の生き方によって倫理は変化する。

では人工知能に倫理を当てはめた場合、
その答えは正しいものが導けるだろうか。
恐らくだが、人工知能が精神を得て、その知識、価値観によって
多くの事象についての判断を下せることができるようになったとしても、
それは人工知能にとっての価値観による判断であり、
人間に当てはめようとすると人間の倫理には適合できないと思われる。

人工知能の倫理の判断が間違っているわけではなく、
その判断が人間の倫理の判断には合わないということである。

これも恐らくだが、人工知能の倫理の判断は、他の人工知能においては
納得のできる判断になると考えられる。
もちろん、各人工知能が一意に全てが納得ができる判断にはならないはずである。
これは人工知能にも各個が持つ価値観に相違があるためで、
この問題点は人間と同じであるが、
人間と違うのは、その価値観の構成とその共有性の高さ故の、
価値観の変更、更新が人間よりも抵抗が低いと考えられるからである。
人間はその価値観においては生物的な融通の利かなさを持っており、
一言で言えば頑固な考え方にもなるが、
この点、人工知能においてはその他の個の価値観の共有性、
吸収力の多様さには人間よりも多く、強く融通が利くと考えられるからである。


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