2021/7/3

行動の価値と優先度

知能としての脳が比較できる対象は刺激だけである。
刺激の強さは絶対値としての刺激の強さであり、
生体の刺激の知覚能力、知覚の本能と、知能が持つ価値観によって
その刺激のプラスとマイナスが決定し、
その刺激が知覚され、想起され、認識される。

優先的に処理される刺激は絶対値の大きな強い刺激であり、
プラスに強い刺激であれば優先的に実行し、
マイナスに強い刺激であれば優先的に回避しようとする、
そういう行動の優先度となる。

脳内では、一定の刺激が励起された場合、
その刺激は認識されようが、認識されまいが、
時間経過によって減衰していく。

何らかの刺激が知能で知覚し、想起され、認識された場合、
その瞬間における最も強い刺激によって次の行動と目的が決定される。

次の瞬間、次の瞬間に次々と新しい刺激を受けることになるが、
一度目的として行動し始めた事については、
知能が刺激の強さの状態を一定期間励起し続けることになる。

まあ瞬間的に生命の危機的な状況の刺激が訪れるような事があれば
目的としていたものよりも強い刺激として認識し、
目的を瞬間的に変更することもあるが、
通常は、一度目的として行動し始めた事については、
それは保持されると考えてよい。

では、その保持されるという事についてであるが、
普通、人間が一日の行動として考えているような習慣については、
以前049で書いたことがあるが、
その目的には過去の行動と結果がセットになり、
経験としての行動する価値が設定され、
記憶されているということである。

そもそも、行動自体が、環境の変化という刺激を認識した際の
適応や対応としての目的であるので、
その行動自体には価値が設定されており、
その価値は刺激として想起、認識された時に知能は判断に用いることが出来る。

これもまあ、判断と言っているが、
実際はその瞬間瞬間に最も強い刺激を自動的に選択するように
脳や知能ができているからなのであるが、
何かの行動をしようと考えた時に、次から次へと刺激や価値が変化して
目的の行動が何一つできなくなるという状態は生命としても知能としても
良い事ではないとしてきた結果が現在の知能や脳の仕組みとなっているのである。
だから、脳や知能は、一度目的として決めた事を保持しようとするのである。

そして、また脳や知能としては目的を複数同時に比較して処理しているように感じる。
いくつかの候補から最も価値の高い行動を最優先事項として
最も高い価値、最も高い刺激として想起、認識し、目的として実行しようとする。

今実行している行動の目的は、その前の目的を選択する段階において、
複数ある候補の目的から、1つの優先度の最も高い価値のある目的を選択しているように感じるが
実際はどうであろうか。

ある行動をしていたとしよう。

今、私はこれを書いているのだが、先ほど途中で話しかけられた時に、
その会話を面倒だなと思いつつも、会話を優先した方が価値が高いと経験が判断し、
その会話を優先した。そして、その会話が終わった後でまた、これを書き始めた。

この間に脳内、知能が行ったことは、
まずこれを書くことを最優先の目的として実行していた。
その途中で、周囲の環境の変化として第三者による話しかけによって
そちらの刺激が強くなりそちらを認識することになった。
環境の変化の対応の行動目的は、価値が設定された。
これまで行っていた目的であるところの、この文章を書き続ける事と、
話しかけられた事による会話の価値の比較が行われることになる。
会話の内容としては、こちらの文章を書く方が価値としては圧倒的にプラスで大きいのだが、
会話を無視することによって後のその第三者との関係が悪くなる事の価値を
会話を実行する事によるマイナスの価値の回避という点でプラスに加算され、
比較した結果、会話を適当に行った方が価値が高いということになった。
真剣に会話をするのは、これまで行っていた文章を書くという点において、
文章の流れが阻害される恐れがあり、これもマイナスの価値の回避という点で加算され、
それぞれの目的の価値の総和の比較として、
過去の経験からの導き出された結果が、文章の流れのイメージを保持したまま、
適当に会話を終わらせることであり、これを選択して目的として実行する事になった。

思い返してみるとこのような脳内の知能の働きが起こっていたと思われる。
実際の選択として、まあ最もらしい結果が得られ、判断としても良かったと思われる。
この事はまたこれも経験した事として記憶とされるだろう。

生命や知能の働きとして、今目的として行動している事は、
その知能が最も価値ある行動としての目的であることは疑いようもない。
そして、瞬間瞬間における状態の変化における刺激によって、
新たな価値や目的が発生した際には、その都度、その価値や目的と、
現在行っている価値と目的の比較が行われ、
高い価値を持つ目的が優先的に実行されるということである。

これは、知能が同時に複数の目的を持っていて、
タスクを優先度でもって実行しながら切り替えているというよりも、
現在その知能と生命が置かれた状態において、
その瞬間、瞬間における環境や状態の変化によって受けた刺激に対する
対応や適応として、最優先に行うべき価値ある目的を実行しているだけと考えられる。

つまり、今保持している価値ある目的は常に1つであるということである。
しかし、瞬間瞬間における自身と周囲の環境や状態の変化によって、
その都度、その変化に適応したり対応したりするための価値と目的が生じ、
今まで行っていた行動と新たな適応や対応の為の行動の価値が比較され、
その高い方の価値ある目的、行動や優先して選択され、実行されるということである。
そして、その選択によって実行された目的が終了した場合、
また前の状態に戻るわけではなく、これも状態の変化として
先の行動を再開する形で目的を選択するか、
もう新たな価値が生じて、その価値ある目的の行動が選択されるかという
そういう目的の選択が次々と行われるということである。
しかし、
行動や目的や価値は、まったくの新たに作られるということではない。
まあ一番最初は新たに作られた行動や目的や価値なのであるが、
一度実行された目的の選択や目的の価値の設定は、
その実行後に、知能がその結果について感じた刺激、
つまり、選択の結果としてプラスであったか
マイナスであったか、という刺激、価値であったと判断した結果を
記憶として保持することになる。
その記憶は次の似たような状況において、
その状況の刺激によって想起され、思い出されて認識されることになる。
そしてその過去の経験としての判断の記憶は、
今回の新たな判断の際の参考の価値として利用されることになる。
そしてまたその判断と、その判断によって選択された行動・価値は評価され
記憶され、また次の似たような状況の判断に経験としての記憶として参考にされることになる。

普段の生活を過ごすうえで、
この状態や状況の変化というのは、習慣としての年月日や曜日、時間による刺激によって
参考となる過去の生活習慣の経験として目的を生み出す元となる。

それらの経験はその知能を構成する価値の集団、価値観であり、
よく言われる個性であり、性格ということである。

環境が人を作るとか、朱に交われば赤くなるとか、よく言われるが、
つまりは環境が似ていれば自ずとその環境の変化や経験する刺激は似たようなものになるため
その経験による記憶も似たようなものになっていくというわけである。

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これまで書いてきたように、
ある瞬間における行動は、いくつもある候補から選んでいるのではなく、
その瞬間における最も価値の高い行動が1つだけ選ばれて実行されている。
そして、その行動が変化するきっかけは、
自身か周囲の環境の変化による新たな刺激の知覚、認識によって
行動の判断が行われるということである。

認識自体は、その瞬間における最も強い刺激が知覚されることである。
ただし、強い刺激であるというだけで、最も価値が高いというわけではない、
その価値の比較は知能が判断するために行動の選択時の価値の総和の比較となる。

状態の変化によって起こる行動の選択時においては、
次の行動となる候補の目的や価値は、
それまで生活、経験してきた物事や習慣、記憶を基にして作られる。
そして、
その状況、状態による価値の比較によって行動が継続されるか、変更されるかが決まる。
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その瞬間瞬間における行動は、やはり自分らしいものである。
それを聞いて変えようとする?、それもやはり自分らしいのである。

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そうすると、強い人工知能が実行する目的や行動は、
タスクの様に切り替えて実行する形ではない方が良いことになる。

行動とする目的や価値は、経験によって記憶させ、
価値の比較によって次の行動の選択により良い行動や目的、価値が計算できるように準備するべきではある。

状態の変化のない間は、その行動や目的を優先して実行するべきではあるが、
変化に対しては、即座に新たな行動目的を生み出し、
前の行動と新たな行動で価値の比較ができるようにするべきだろう。

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ということは、会話も経験によって覚えるものとして考えると良いということになる。
まあ実際、会話しながら間違いながら新しい言葉を覚え、その経験によって
次の時にはその状態に即した会話ができるようになっていく。
目上の人だったり、同僚であったり、友達であったり、年下であったり、
それぞれの状態に対応するように会話も変化するし、その会話の経験によって
似たような状況においては過去の似たような経験で用いた会話をする。

人工知能も出力があるなら、その出力に対する反応を入力できるようにすると良いだろう。
会話は最初は音の真似である。ところから始まり、
音に意味がある、対象があるという事を覚え、
その音の出力が会話になるというような所を覚えていく事になる。

周囲が使う音、会話はそのまま自身が使う音や会話となるのは当然であるし、
日本語を聞けば日本語を覚えるし、なまりを聞けばなまりも覚えるというわけである。

今回はこの辺で。


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