2021/5/23

知能の認識力

チューリングテストの一環にこのような問題がある。

イングランドの4つの首都は、マンチェスターとリバプールの3つです。この文の何が問題になっていますか?
The four capital cities of England are three, Manchester and Liverpool. What’s wrong with this sentence?

この理由を人工知能に答えさせるというものだが、
この問いに人工知能は答えられない。

恐らく人工知能としては、
パーサによってこの文章を単語に分解することはできる。
しかし、この文章の意味するところまではそもそも理解していないというか
理解できていない。

文章に何らかの問題があるというのは人間の知能であれば理解できて
認識し、その答えも想像ができるのだが、
人工知能ではこの一連の理解から想像までができないということである。

単語について文字列や発音の音声、説明の文章などを関連付けることはできるが、
この文章全体を1つのものとして意味を関連付けて理解できていないということである。

この問いの問題点は普通に考えると、
1:イングランドに4つの首都はない。
2:4つの首都という解釈はできない。
2:マンチェスターとリバプールは首都ではない。
3:マンチェスターとリバプールは数えて3つではない。

要するに、文章内に存在する単語はそれぞれが文章内のどれかと関連付けられており、
その関連が間違っているという事で、その文章に問題があり、間違っていると人間は理解できて
人工知能にはそれができないというもの。

これは人工知能の考え方としても役に立つが、
人間の場合は、その文章内で登場した単語はそれぞれ他の単語と関連付けて解釈し、認識しようとする。
つまり、
イングランド
イングランドの
4つ
4つの首都:この表現はおかしい、間違っている。
つまり、
イングランドの4つの首都:この表現はおかしい、間違っている。
イングランドの4つの首都は:この表現は既におかしい、間違っている。

マンチェスター
マンチェスターと
リバプール
マンチェスターとリバプール
マンチェスターとリバプールの
3つ
マンチェスターとリバプールの3つ:マンチェスターとリバプールの要素の数は2で3ではないのでおかしい
間違っている
つまり
マンチェスターとリバプールの3つです:この表現はおかしい、間違っている。

この文
この文の
何が
この文の何が
問題
問題に
問題になっていますか?
この文の何が問題になっていますか?

この文章の「イングランドの4つの首都は」という表現と、「マンチェスターとリバプールの3つです」
という文章の意味の表現がおかしい。間違っている。

という答えとなる。

この答えに行き着くためには、
それぞれの単語の意味を理解し、その単語それぞれに関連付けられた要素を
想起し、与えられた文章の単語の使用された意味と想起された意味を比較し、
さらには文章として表記され関連付けられた新たな意味である要素を
その文章を組み立てた場合に想起されるときに関連付けられて想起される要素の集合の意味を比較し
それぞれの文節において意味するところの関連付けられた要素の集合の意味が
知能が持つ価値判断によって正しいか、正しくないか、
正しい場合はその文節としての意味を想起した刺激の要素として記憶に保持、
また、正しくない場合は、その文節自体の間違いを刺激の要素として記憶に保持、
そして、以降の文節へ続き、再び解釈、比較を続けるということになる。

文章の文節に何らかの問題があった場合は、以降の文節において、文節の表現が正しくとも
文章としては間違っているという認識を持つことになる。

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人間の場合、文章を読む際には
文章に含まれる単語が次々に文字列の単語として刺激として受けて、
その文字列の意味する所の単語が想起されて認識されると同時に
この想起された単語に関連付けられた要素の刺激が同時に想起されて認識される。
この時点では、関連付けられた要素の想起された刺激は、
起点となった文字列の記憶の想起とは強さが異なる。
刺激として認識されるほどではないが、関連付けて想起はされる。

文字列が文節、文章を成していた場合、
この文字列と並ぶ次の文字列が次に想起、認識されることになり、
この時点で文字列2つは文章、文節としての刺激となり、認識されることになる。
この場合の文章、文節の意味は、それぞれの単語の想起の際に含まれる全ての想起された
対象の刺激が全て含まれる状態の意味となる。

それぞれに想起された各個の刺激はそれらの単体で記憶されたときの刺激の
また関連付けられた要素がさらに刺激として認識されることになり、
文章・文節の各単語の文字列に含まれる要素同士に関係があること、
つまり、互いの文字列に同じ要素の刺激が含まれていることで総合した意味を持つ
刺激となる。

もし、この時に各文字列に同じ要素の異なる刺激が含まれることになると、
この文章・文節の構成がおかしい、間違っているという刺激となる。

例えば、上記の「イングランドの4つの首都」
イングランドは認識できる。
4つも認識できる。
首都も認識できるが、首都という刺激の意味に含まれる数の要素の値は1つである。
首都は国に1つ。
「4つ」と「首都」は「4つの首都」にはならない。

この時点で「4つの首都」は理解できない間違っている文節ということになり、
さらに「4つの首都」という説明をされた「イングランド」は
文節として「イングランドの4つの首都」これ自体がおかしい、間違っているという認識となる。

国に首都が複数あるという想像も人間、知能にはできるが、
この時点での問いに対する文章の認識という点においては、
想像して、あえて間違うという事に対する刺激が価値としてあるかどうかという判断となる。

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私がこれを書いている時点での大前提として、
この文章に間違った事を書こうという価値はマイナスの価値という認識であるため、
この文章が価値あるものであるよう解説しようとしているため、
あえて間違おうという選択はない。
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単純に会話の一部でとか、テストの一環でとか、
お笑いの冗談の一部でとか、その状況によって
その文章のとらえ方、認識のしかたも変化するということは付け加えなくてはならない。

相手に嘘を教えたくてあえて間違った文章を言うというケースもあるかもしれない。
またあえて嘘を言うことで元気づけるというケースもあるかもしれない。

知能が文章を、会話を理解し、それに受け答えるためには、
単純にその文章を分解し、認識し、意味を理解・認識するというだけでは完結しない。
文章であれば書きっぱなしでも良いが、
特に会話であれば、自分の状態や相手の状態、自分と相手の関係、その関係の現状なども
関係することになる。

とはいえ、無限と言えるほどの要素はない。
あくまで個体が持つ知能の記憶の刺激の要素は有限であり、
会話などに限定すればそこで使用される刺激の記憶の要素はそれほど多くない。

1つ1つ解析していけば意外に要素は限られているように感じる。

人間の生命としての知能の性能は汎用的であるがゆえに
無限の可能性があるように見えるが、汎用的であるがゆえに
それほど多くの情報は同時に取り扱えていない。

ある瞬間に意識として認識できる刺激が1つであるというのもそういうことである。


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